鶴岡八幡宮・九月の祭礼と行事~虫の音涼し長月~
- 2024.10.14
- 年中行事
鶴岡八幡宮の9月は、例大祭一色に染まります。初日14日は早暁の浜降式に始まり日没後の宵宮祭へと続き、中日の15日は午前に例大祭が斎行され、午後の神幸祭には、三基の御神輿が二の鳥居前の御旅所まで若宮大路を練り歩きます。最終日の16日午後には、勇壮な流鏑馬神事が執り行われ、夕刻の鈴虫放生祭で一連の神事を終えます。
これらの神事が執り行われている間に、鎌倉囃子が賑やかな境内では、地元の盛んな文化活動に支えられ、合唱会、和太鼓演奏、日本舞踊、献茶会、献華会、焼亡の舞といった様々な行事が奉納されます。
さらに、秋分の日を迎えますと、祖霊社では秋季例祭がしめやかに斎行されます。
なお鶴岡八幡宮のご由緒、ご朱印、年中行事、季節の花々、アクセス等につきましては、以下のリンクをご覧ください。
⇒鶴岡八幡宮へ
鶴岡八幡宮・月々の祭礼と行事
境内図
鶴岡八幡宮・九月の風景
二の鳥居
二の鳥居前には、例大祭の案内板が掲げられ、神幸祭の御旅所の準備も進められています。
段葛とその周辺
秋分の日の段葛には、日の丸が掲げられます。
こちらは置石町の御仮屋です。中では御神輿が15日夜の出番を待っています。
鎌倉文華館
春よりこのかた鎌倉文華館前の芝生の緑は鮮やかなままで、青空が広がるこんな日は、気持ちよく散歩できます。
カフェ&ショップの中には、かつて大石段脇で絶大な存在感を放っていた大銀杏の株元が展示・保管されています。
九月の社頭歴
例大祭終了までの社頭歴
9月の社頭歴は、前半と後半で異なります。例大祭が終了する16日までは、例大祭の予定のみが詳細に記載されています。
例大祭終了後の社頭歴
例大祭を終えた9月後半の社頭歴には例大祭以外の祭礼・行事についても記載されます。
九月の祭礼
日付 | 祭礼 | 場所 |
1日 | 月首祭 | 本宮他 |
3日 | 摂末社月次祭 | 若宮他の各摂社末社 |
14日早暁 | 浜降式 | 材木座海岸 |
14日 | 宵宮祭 | 本宮 |
15日午前 | 例大祭 | 本宮 |
15日午後 | 神幸祭 | 若宮大路・御旅所他 |
16日午後 | 流鏑馬神事 | 流鏑馬馬場 |
16日夜 | 鈴虫放生祭 | 舞殿・柳原神池 |
秋分の日 | 祖霊社秋季例祭 | 祖霊社 |
月首祭(毎月1日)
鶴岡八幡宮では、歳旦祭が斎行される元旦を除き、毎月朔日に本宮にて月首祭を執り行います。
こちらの様子は、鶴岡八幡宮・五月の祭礼と行事~若葉香る皐月~にてご紹介しております。
摂末社月次祭(毎月3日)
摂末社の月次祭は、毎月3日に一斉に執り行われます。
こちらの様子は、鶴岡八幡宮・五月の祭礼と行事~若葉香る皐月~にてご紹介しております。
浜降式
例大祭初日9月14日の早暁に、材木座海岸では浜降式が執り行われ、ご神職の皆様が身を清めます。 こちらの様子は、鶴岡八幡宮・浜降式(はまおりしき)~例大祭(2023年)~にてご紹介しております。
帰りには藻塩草を持ち帰り、境内の要所に配置します。
宵宮祭
日が落ちた9月14日午後6時より、本宮において宵宮祭が斎行され、翌日の例大祭の執行をご奉告します。鶴岡八幡宮では例大祭の前夜に行われる前夜祭として位置づけられていますが、神社によっては御祭神を他の御座所より本社にお迎えする還御祭として執り行われる重要な祭礼となっています。なお宵宮祭は小祭に該当します。 こちらの様子は、鶴岡八幡宮・宵宮祭~例大祭(2019年)その1~にてご紹介しております。
宵宮祭では、お神楽は奉納されませんので、大石段を上って行く神職の列には、巫女の姿はありません。
本宮内の神事の様子です。
例大祭
9月15日の午前10時には、本宮にて例大祭が執り行われます。神社本庁より献幣使(けんぺいし)をお迎えし、幣帛(へいはく)を受領します。 こちらの様子は、鶴岡八幡宮・例大祭~例大祭(2019年)その2~にてご紹介しております。
大石段下の御仮屋には、三基の御神輿が並びます。中央が本宮主祭神「応神天皇(おうじんてんのう)」、向かって左側が 応神天皇の皇后又は皇女「比売神 (ひめがみ) 」 、向かって右側が応神天皇の母君「神功皇后(じんぐうこうごう)」の御神輿となります。
お神楽では巫女四名がご奉仕します。
こちらは、例大祭を終えたご神職が本宮を後にするところです。
本宮での神事が終わると、舞殿にて八乙女の舞が奉納されます。
神幸祭
9月15日の13時からは、例大祭のクライマックス「神幸祭」です。大石段下に並んだ三基の御神輿が担ぎ上げられ、若宮大路の段葛の東側を下り二の鳥居前の御旅所に向います。御旅所では、三基の御神輿の前で八乙女の舞が奉納され、続いて神事が執り行われます。滞りなく神事を終えた後、御神輿は段葛の西側を鶴岡八幡宮へと還御されます。 神幸祭で使用される威儀物が次々に大石段を下って来ます。 こちらの様子は、鶴岡八幡宮・神幸祭~例大祭(2019年)その3~にてご紹介しております。
神霊が御神輿に御遷りになります。
応神天皇の御神輿が先頭を切って担ぎ上げられます。
氏子に担がれた御神輿が三の鳥居を潜り、若宮大路に入っていきます。
二の鳥居前・御旅所での神事です。
還御の様子です。
下馬された宮司以下のご神職が大石段を上ります。
随身門の門扉が閉じられ、本宮内での神事が執り行われます。この神事の様子はもちろん非公開です。
神事を終えたご神職が大石段を下り、威儀物を携えた氏子の皆さんが本宮へと向います。
流鏑馬神事
例大祭の最終日16日の午後1時には流鏑馬神事が執り行われます。
例大祭の流鏑馬神事は、源頼朝の弓馬礼法の師範であった小笠原長清を祖とする小笠原流教場宗家一門により奉仕されます。
なお崇敬者大祭の流鏑馬も同じく小笠原流により執り行われますが、鎌倉まつりの流鏑馬は武田流によります。
鈴虫放生祭
16日午後5時より鈴虫放生祭が斎行されます。もともとは魚や鳥などを自然に放つことで、善根を施し善業を積むための仏教系の儀式ですが、その考えは仏教を排した現在の鶴岡八幡宮にも受け継がれています。鈴虫放生会は、平成16年(2014年)より始められたもので、舞殿にて神事が執り行われ、お神楽が奉納された後に、お供えした鈴虫を柳原神池の林に放します。下の籠には、鈴虫が入っています。
舞殿での神事の後、柳原神池で鈴虫が放たれます(ピンぼけで恐縮です)。
祖霊社秋季例祭
祖霊社の例祭は、仏教でいうお彼岸の時季、春分の日と秋分の日に斎行されます。祖霊社は、大東亜戦争の傷跡も生々しく残る昭和24年(1949年)に創建された新しい境内社で、戦没者のご遺族らを会員とする「祖霊社維持会」により運営されています。
九月の行事
鶴岡八幡宮の9月の行事の多くは、例大祭の日程に組み込まれています。
日付 | 行事 | 場所 |
2日 | 奉納包丁式 | 舞殿 |
14日 | 合唱会 | 舞殿 |
14日 | 和太鼓演奏 | 舞殿 |
14~16日 | 献茶会 | 祖霊社前 |
14~16日 | 鎌倉囃子 | 三の鳥居付近 |
15日 | 日本舞踊 | 舞殿 |
15~16日 | 献華会 | 舞殿付近 |
16日 | 焼亡の舞 | 舞殿西側 |
合唱会
宵宮の14日午後四時からの北鎌倉女子学園コーラス部による合唱会です。OGの皆さんもご参加されています。
和太鼓演奏
宵宮祭のクライマックスは、相州神童太鼓の皆さんによる和太鼓演奏の奉納です。
献茶会
例大祭の期間(14日~16日)毎日、祖霊社鳥居前に野点の席が設けられ、池田宗房社中により奉仕されます。
日本舞踊奉納
神幸祭を終えた15日の夕刻に舞殿にて日本舞踊が奉納されます。吾妻君香社中によるご奉仕です。
献華会
15日・16日に、上代古流・永野貫玉社中と鎌倉国際華道協会によりご奉仕されます。
焼亡の舞(じょうもうのまい)
16日の午後四時に演じられる焼亡の舞(じょうもうのまい)は、石橋山合戦で敗れた土肥実平が、伊東祐親により放たれた火により自らの館が焼け落ちていく様を見て「我が家は何度も焼けば焼け」と舞ったことに由来します。 湯河原にある「焼亡の舞保存会」によるご奉仕です。
最後までご覧いただきありがとうございました。この投稿で1月から10月までの祭礼と行事のご紹介をさせていただいたことになります。残り2ヶ月分もできるだけ早くアップさせていただければと思います。
-
前の記事
那智山・青岸渡寺◆境内散歩◆熊野三山遠征記(第四回)/西国三十三所(第一番)参拝 2024.10.05
-
次の記事
筑波山・大御堂◆坂東三十三観音霊場(第二十五番)参拝◆ 2024.10.30
コメントを書く