巡礼の旅

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華林山・最上院・慈恩寺◆坂東三十三観音霊場(第十二番)参拝◆

  • 2024.03.02

 天長元年(824年)淳和天皇の代に、天台宗山門派の祖、慈覚大師・円仁により現在のさいたま市岩槻区に開かれた華林山・最上院・慈恩寺の名は、慈覚大師が入唐の際に遊学した長安(現在の西安)・大慈恩寺に由来します。行基や空海が全国至る所の寺院の開山・開基に名を連ねているように、慈覚大師は、出身地の下野国を始めとした北関東から東北地方にかけての多くの寺社の縁起にその名を残しています。慈恩寺は、創建以来、江 […]

海上山・千葉寺◆坂東三十三観音霊場(第二十九番)参拝◆

  • 2024.01.16

 真言宗豊山派に属する海上山(かいじょうざん)千葉寺(せんようじ)の創建は和銅二年(709年)と極めて古く、千葉市内では最古の寺院です。巡錫の折にこの地に立ち寄った行基が、一本の茎に二つの花を咲かせ、その花の中で阿弥陀如来と観音大士が説法している蓮を見て、丈六の十一面観音像を刻み堂宇を建て安置したのがその始まりとされます。行基はさらに聖武天皇に奏聞して「海照山」の山号と「三界六道」の勅額を得て本堂 […]

峰山・金刀比羅神社~狛猫(こまねこ)◆丹後国古社寺巡り(第1回)◆

  • 2023.06.07

 今年の元旦は湘南地区を離れ、縁あって京都府北部・京丹後市で過ごさせていただきました。京丹後市のある旧丹後国は大陸との交通の表玄関として古代には大変栄えた地域で、奥丹後三郡(熊野郡・竹野郡・中郡)を市域とする京丹後市にも数多の古社が鎮まり、山裾に貼りつくように建つ古びた小さなお社が、あたりまえのように延喜式神明帳にも記された「式内社」だったりします。 訪れる都度撮影した写真や資料のファイルもいつの […]

獨鈷山・西明寺(益子観音)◆坂東三十三観音霊場(第二十番)参拝◆

  • 2021.03.05

坂東三十三観音霊場・第二十番札所の獨鈷山(どっこさん)普門院(ふもんいん)西明寺(さいみょうじ)は、別称「益子観音」の名の通り、益子焼で有名な栃木県益子町にある真言宗豊山派のお寺です。寺伝によれば開山・行基菩薩、開基・ 紀有麻呂とされていますが、天平時代に紀貫之で有名な豪族・紀氏の一族が移り住み益子町中心部の西に位置する「権現平」に紀貫之を祀る祠を建てたのが始まりで、康平年間(1058~65年)に […]

出流山・満願寺(出流観音)◆坂東三十三観音霊場(第十七番)参拝◆

  • 2021.01.07

栃木市にある坂東三十三観音霊場第十七番札所・出流山満願寺の開山は、勝道上人が日光開山に先立ち観世音菩薩のご加護を仰ぐべく今の本堂の場所に堂宇を立てて千手観音を奉安した天平神護元年(765年)で、「出流(いずる)」の名の通りこの地はまさに日光の源流・ルーツに該ります。寺伝によれば、さらに遡る天平時代に役行者小角が、現在の奥の院「観音の霊窟」を発見したのが修験道場としての出流山の始まりで、子宝に恵まれ […]

日光東照宮(後篇)~紅葉の日光遠征記2018(その10)~

  • 2018.12.19

「紅葉の日光遠征記」最終回(第十回目)となる今回は、前回に続き「日光東照宮」をご紹介します(今回は後篇です)。日光東照宮は始め「東照社」と称しており、「寛永の大造替」も終わった後の正保二年(1645年)に朝廷より宮号を賜り、初めて「東照宮」となりました。駿河からの改葬当初は質素だった建物ですが、「寛永の大造替」により日光東照宮の御本社は、拝殿・石の間・本殿(いずれも国宝)からなる豪華な権現造に生ま […]

日光東照宮(中篇)~紅葉の日光遠征記2018(その9)~

  • 2018.12.17

「紅葉の日光遠征記」第九回目の今回は、前回に続き「日光東照宮」をご紹介します(今回は中篇です)。日光東照宮で最も有名な建物と云えば、何と言っても昨年(2017年)に修復成った国宝「陽明門」でしょう。 絢爛豪華な安土桃山文化の集大成ともいえる江戸前期の代表的建築物で、狩野探幽を中心とした狩野派が総力を結集して造り上げた装飾美の極致です。またご本殿と共に、日光東照宮の宗教体系上の核となる建築物である「 […]

日光東照宮(前篇)~紅葉の日光遠征記2018(その8)~

  • 2018.12.14

「紅葉の日光遠征記」第八回目の今回は、シリーズ最後となる「日光東照宮」をご紹介します(なおボリュームがありますので、前・中・後篇に分けさせてください)。これまでご紹介したとおり、日光山は東照宮が建立される以前から東日本一の霊場として高い地位を占めていたわけですが、東照宮を通じて徳川将軍家と結びつくことにより、以降200年以上に亘り最盛期を迎えることになります。祭神は、ご存じの通り東照大権現・徳川家 […]

奥日光・中禅寺(立木観音)◆坂東三十三観音霊場(第十八番)参拝◆

  • 2018.12.10

坂東三十三観音霊場・第十八番札所の中禅寺(立木観音)は、栃木県日光市街から「いろは坂」を登り切リ「華厳の滝」を過ぎた先の中禅寺湖畔に建ちます。延暦三年(784年)に、日光山を開闢した勝道上人が、中禅寺湖北岸にある日光二荒山神社中宮祠境内の男体山・登拝口のあたりに神宮寺を建てたのが始まりで、長らくその場所にありましたが、明治35年(1902年)9月の山津波で流されたため、現在の中禅寺湖東側の歌ヶ浜に […]

日光二荒山神社・中宮祠~紅葉の日光遠征記2018(その7)~

  • 2018.12.05

「紅葉の日光遠征記」第七回目の今回は、男体山を背に中禅寺湖を望む「日光二荒山神社・中宮祠」の様子をご紹介します。中宮祠は、男体山=大己貴命(おおなむちのみこと)をお祀りする神社として、勝道上人により、天応二年(782年)の男体山登頂の二年後の延暦三年(784年)に建立されました(同時に「中禅寺」も中宮祠の神宮寺として同じ中禅寺湖北岸の敷地に創建されています)。以来1200年以上の長きにわたり、男体 […]