初詣・三浦七福神(2022年)~海南神社・白髭神社・妙音寺他~

初詣・三浦七福神(2022年)~海南神社・白髭神社・妙音寺他~

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 今回は、令和4年1月2日に初詣した「三浦七福神」をご紹介します。
 三浦七福神は、昭和40年(1965年)に開かれた比較的新しい霊場で、元旦から1月末(御開帳は15日まで)にかけて三浦市内の五つの寺院と二つの神社をお参りします。
 東京湾・太平洋・相模湾に囲まれた三浦半島の先端部をぐるりと巡り、遠く富士・箱根・伊豆の山々や伊豆諸島、さらに房総半島の眺望を楽しみながら、車で回ればほぼ半日で結願できてしまう手軽さがうれしいお勧めの巡礼コースです。

一番札所・金田山圓福寺◆金光恵比須尊(きんこうえびすそん)◆

 こちらは、三浦海岸駅を東京湾沿いに少し南に下った三浦市金田にある一番札所・金田山圓福寺(浄土宗)です。漁師が海中より拾い上げた「金光恵比須尊」が札所本尊となっています。
 お寺のご本尊は「阿弥陀如来」で、他には「三浦三十八地蔵尊霊場」の秘仏「地蔵菩薩(市重文)」などが御本堂に安置されています。
開山は鎌倉・光明寺の伝設大和尚で、天文17年(1548年)に金田海岸の地蔵堂を移転したのが始まりとされています。銅葺きの御本堂は、昭和7年(1932年)に再建されたものです。

御本堂正面の龍の透かし彫りは、実に繊細で素晴らしいものです。

七福神のかわいい石像が並んでいます。

こちらは平成8年(1996年)落慶の鐘楼堂です。

こちらが「金光恵比須尊」の御朱印です。
恵比須様は、七福神の中で唯一日本由来の神様で、もともと漁業の神様とされていたようですが、平安期以降は商業の神様として広く親しまれています。

【アクセス】
住所:三浦市南下浦町金田258
電話:046-888-0038
交通:金田バス停より徒歩3分。駐車場有。

一番札所・圓福寺より二番札所・慈雲寺に向かう途中、金田湾の向こうに久里浜の火力発電所が見えます。

こちらは、松輪手前の小高い場所にあるコンビニ付近から望む房総半島の様子です。

二番札所・持陽山慈雲寺◆白浜毘沙門天(しらはまびしゃもんてん)◆

二番札所・持陽山慈雲寺は、妙謙大和尚により応安元年(1368年)に開山された臨済宗円覚寺派の寺院で、松輪から毘沙門に抜ける旧道の途中にあります。ご本尊は薬師如来で、御本堂には江戸時代に造られた彩色の毘沙門天像が安置されています。

毘沙門天 は、インド由来の神様で、持国天・増長天・広目天と並ぶ四天王の一尊で、多聞天とも呼ばれています。見るからに強面の武神ですが、インドでは財宝神とされていました。

【アクセス】
住所:三浦市南下浦町毘沙門667
電話:046-881-7573
交通:毘沙門バス停より徒歩1分。駐車場有。

毘沙門堂

金田湾の海中から引き揚げられたもともとの白浜毘沙門天像(行基作と云われています)をお祀りしていた祠が「毘沙門堂」で、江戸期までは慈雲寺が別当寺を務めていました。松輪から慈雲寺に行く途中の畑の中に石碑があり、その細い道を海側に逸れていくと「毘沙門堂」があります。慈雲寺からの距離は1km程度(徒歩で10分強)です。

こちらが、海中から出現したもともとの白浜毘沙門天像です。波に洗われ表面が削り取られている様子がよくわかります。

毘沙門堂から三崎の中心部に向かう途中、宮川町には大きな風力発電機が2基据えられています。

三番札所・海南神社◆筌龍弁財天(せんりゅうべんざいてん)◆

三番札所の海南神社は「三浦総鎮守」 に位置づけられ、三浦諸社の核となるお社です。ご祭神は、貞観年間に九州からこの地に来た藤原資盈で、最初の社殿は天元5(982)年に造営されました。正月15日に執り行われる神事「チャッキラコ」は、昨年ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

こちらは海南神社・奥宮です。

最近落成した金比羅宮です。早いうちにお参りすれば、ピカピカの銅葺き屋根を頂く真っ白な社殿を拝見できます。

治承四年(1180年)の源頼朝挙兵に呼応したものの平家方に敗れた和田義盛は、敗走中に大暴風雨に遭いましたが、流れてきた「筌(竹製の漁具)」で魚を取りかろうじて飢えをしのぐことができました。後に恩ある「筌」を祀り、弁財天堂を建立したのが筌龍弁財天の始まりです。

【アクセス】
住所:三浦市三崎4-12-11
電話:046-881-3038
交通:三崎港バス停より徒歩5分。駐車場有(少し分かりづらいですが)。

四番札所・見桃寺◆桃林布袋尊(とうりんほていそん)◆

四番札所の紫陽山・見桃寺は、寛永五年(1628年)に建立された臨済宗妙心寺派のお寺で、三崎・船手奉行であった向井兵庫頭政綱が、静岡県清見寺より招いた白室玄虎を開山とします。ご本尊は釈迦如来で、秘仏・薬師如来像、日光菩薩・月光菩薩像、十二神将像などが祀られています。また大正時代には北原白秋が有名な「城ヶ島の雨」を作詞したことでも知られています。
もともと、この地には源頼朝の三崎の別邸「桃の御所」がありました。「桃の御所」は「花の三御所」のひとつで、 ほかに「椿の御所(現・大椿寺)」「桜の御所(現・本瑞寺)」がありました。

大きな袋を背負った太鼓腹で知られる布袋尊は、中国五代・後梁の禅僧「契此(かいし)」のことで弥勒菩薩の化身ともされています。なお、祀られている桃林布袋尊は、見桃寺第三世・桃林宗屋禅師の帰依仏でした。

【アクセス】
住所:三浦市白石町19-2
電話:非公開
交通:二町谷バス停より徒歩1分。駐車場有。

油壷京急マリーナ

こちらは、「油壷京急マリーナ」です。お隣の油壷ヨットハーバーと比べて開口部が広く・ストレートで、真正面に見える富士山がとてもきれいです。

五番札所・白髭神社◆長安寿老人(ちょうあんじゅろうじん)◆

白髭神社は、天文年間(1532年より55年)に、漁夫が引き上げた光輝く束帯姿の像をお祭りしたのが始まりとされています。ご祭神は白髭明神(=中筒男命)で、現在の社殿は、北条早雲のライバルとして知られ、近くの新井城で自刃した後も長く地元に慕われた三浦道寸義同が改修したものと伝えられています。

こちらの石は「カンカン石」と呼ばれ、上に乗ているこぶし大の石で叩くと「カンカン」と高い金属音がします。この石は、摂津の国の船頭が奉納した「きこいかり」という錨です。。

寿老人は、もともと中国で「南極星の化身」とされ、不老長寿の神として信仰されてきました。

【アクセス】
住所:三浦市三崎町小網代1516
電話:非公開
交通:二町谷バス停より徒歩1分。駐車場有。

六番札所・妙音寺◆鶴園福禄寿(かくおんふくろくじゅ)◆

 飯盛山明王院妙音寺(通称:三浦大師)は、高野山真言宗のお寺で、本尊は「不空羂索観音菩薩」です。開山の経緯については資料が散逸して不明ですが、もともとは七堂伽藍を備える大寺であったようで、鎌倉の明王院も山号は飯盛山(はんせいざん)ですのでもしかすると鎌倉・明王院(真言宗泉涌寺派)の末寺であったのかも知れません。ちなみに鎌倉手広の青蓮寺(高野山真言宗)も山号は飯盛山(はんじょうざん)です。
戦国期には小田原北条氏の庇護を受け、雨乞いの祈願寺として栄え、天正年間(1573年から92年)に中興の祖・賢栄法印によって、妙音寺原より現在の地に移築したという記録があります。
 昭和50年代に檀信徒によって寺の裏山にツツジ・スイセン・ツバキ・サクラ・ヤマユリなどが植栽され、その中でも、ヤマユリがよく育ったことから「東国花の寺百ヶ寺」の一つ「山ゆりの寺」として知られています。
 また、その裏山は「花山曼荼羅」と呼ばれ、100種174体の石仏を巡る山内霊場となっており、頂上には霊場の御本尊・大日如来が祀られています。

こちらは御本堂です。

こちらは御詠歌「いつ来ても 妙なる法の 浪の音は 救ひの聲と きこゆ尊さ」

こちらは花山曼荼羅のご本尊・大日如来です。

こちらは山頂にある大師堂です。

福禄寿は、福「幸福」・禄「財宝」・寿「長寿」の三徳を有するとされる中国の神様です。大師堂に祀られる三尊の福禄寿のうち中央の一尊は「花山曼荼羅」の一尊として勧請されたもので、鶴を携えていることから「鶴園福禄寿」と呼ばれています。

【アクセス】
住所:三浦市初声町下宮田119
電話:046-888-2226
交通:京急三崎口駅より徒歩20分。駐車場有。

七番札所・延壽寺◆寿福大黒天(じゅふくだいこくてん)◆

壽福山・延壽寺(通称:三浦鬼子母神)は「日蓮六老僧」として知られる日朗上人の高弟「朗門の九鳳」の一人・大前阿闍梨日範を開山として、弘安七年(1284年)に建立されました。現在の山号「壽福山」、寺号「延壽寺」は、120歳の長寿を全うした日範上人にちなむもののようです。ご本尊は「釈迦如来・多宝如来」で、本堂右手に「壽福大黒天」、左手に「鬼子母神」が祀られています。

残念ながら枯れていますが、こちらは日範上人お手植えの松です。

寿福大黒天は、江戸期文化年間(1804年から17年)に当時の住職であった日龍上人が一刀三礼の儀をもって彫られたものです。大黒天は、古代インドでは「戦争・闇黒」を司る破壊神・マハーカーラでしたが、仏教において護法神に転じました。さらに日本では大国主命と習合し、財宝・豊穣の神様となりましたが、実はあの福よかで優しいお顔からは想像できない「黒歴史」をお持ちの神様です。

【アクセス】
住所:三浦市初声町下宮田3403
電話:046-888-1815
交通:宮田バス停より徒歩10分。駐車場有。

授与品

こちらが、三浦七福神オリジナルの御朱印帳です。表は、「珊瑚」「打ち出の小槌」「松」など宝物を満載し「擬宝珠」を頂いた帆柱の「宝船」を中心に「日の出」「富士」「鶴」「亀」「鯛」とお目出度キャラが勢ぞろいです。

裏は、三浦半島の地図上に七福神を配して、名産のマグロと三浦大根のイラストをちりばめたデザインになっています。

こちらは、お馴染み七福神の色紙です。