鶴岡八幡宮・一月の祭礼と行事~寒牡丹華やぐ睦月~

鶴岡八幡宮・一月の祭礼と行事~寒牡丹華やぐ睦月~

今回は、ぼたん園の寒牡丹も華やぐ睦月に鶴岡八幡宮で執り行われる祭礼・行事を、境内を彩る花々と共にご紹介します。初詣の人出でにぎわう1月の鶴岡八幡宮では、多くの祭礼・行事が目白押しです。まず元旦には、早暁に「歳旦祭(さいたんさい)」早朝に「神楽始式(かぐらはじめしき)」が執り行われます。さらに1月3日の「元始祭(げんしさい)」、1月4日の「手斧始式(ちょうなはじめしき)」及び「祭務始式」、1月5日の「除魔神事(じょましんじ)」、1月7日の「神代神楽(じんだいかぐら)」と続き、成人の日には「成人祭」、1月15日には「左義長神事(さぎちょうしんじ)」と「月次祭(つきなみさい)」が斎行されます。また、元旦から1月5日にかけて舞殿では「御判行事」が執り行われ、1月下旬の土日を含む期間には、初日の「鶴岡厄除大祭」を皮切りに連日「厄除大祈祷」が斎行されます。 なお1月には例月の「月首祭」「摂末社月次祭」は斎行されません。

なお鶴岡八幡宮のご由緒、ご朱印、年中行事、季節の花々、アクセス等につきましては、以下のリンクをご覧ください。
⇒鶴岡八幡宮へ

鶴岡八幡宮・月々の祭礼と行事

記事リンク
1月 鶴岡八幡宮・一月の祭礼と行事~寒牡丹華やぐ睦月~
2月 鶴岡八幡宮・二月の祭礼と行事~鶯さえずる如月~
3月 鶴岡八幡宮・三月の祭礼と行事~草木萌ゆる弥生~
4月 鶴岡八幡宮・四月の祭礼と行事~桜咲く卯月~
5月 鶴岡八幡宮・五月の祭礼と行事~若葉香る皐月~
6月 鶴岡八幡宮・六月の祭礼と行事~蛍舞う水無月~
8月 鶴岡八幡宮・八月の祭礼と行事~陽光溢る葉月~

境内図

鶴岡八幡宮境内図

鶴岡八幡宮・一月の風景

段葛には日の丸が並び、このひと月、初詣や厄除のために鶴岡八幡宮に向かう人々で賑わいます。

社務所にも大きな日の丸。

例年の正月三ケ日は、このような感じ。

コロナで自粛の今年は、こんな感じです。1月下旬の朝の風景ではありますが、写っている参拝客は、大石段上のおひとりだけ・・・。

大石段下には昨年末より大祓の自祓所が開設されていました。

ぼたん庭園

この時期のぼたん庭園は、雪囲いをした寒牡丹が艶やかに咲き誇り、新年に相応しく、訪れる人を華やいだ気持ちにさせてくれます。

太陽
貴婦人
島錦

毎年、雪が降ってくれたらいい写真になるのになと思うのですが、私の都合にあわせてはくれません。

春光寿
島大臣
黄冠

正月特別御朱印

もともと鶴岡八幡宮は御朱印の種類が少なく「鶴岡八幡宮」と七福神めぐりの「旗上弁財天」の二つしかありませんでしたが、昨年より正月限定で
「鶴岡八幡宮」「白旗神社」「旗上弁財天社」 の三枚セットの御朱印を頂戴できるようになりました。

鶴岡八幡宮・正月限定御朱印
白旗神社・正月限定御朱印
旗上弁財天社・正月限定御朱印

一月の社頭歴

令和元年(2019年)1月の社頭歴

一月の祭礼

日付 祭礼 場所
1日 歳旦祭(さいたんさい) 本宮
1日 神楽始式(かぐらはじめしき) 舞殿
1日~5日 御判行事(ごはんぎょうじ) 舞殿又は若宮
3日 元始祭(げんしさい) 本宮
4日 手斧始式(ちょうなはじめしき) 舞殿
4日 祭務始式(さいむはじめしき) 本宮
5日 除魔神事(じょましんじ) 舞殿及び舞殿西側広場
7日 神代神楽(じんだいかぐら) 舞殿
成人の日 成人祭 舞殿
15日 左義長神事(さぎちょうしんじ) 源氏池北側広場
15日 月次祭(つきなみさい) 本宮
下旬 鶴岡厄除大祭 舞殿
鶴岡厄除大祭の日~31日 厄除大祈禱 舞殿

歳旦祭(1日)

歳旦祭は、新しい年を寿(ことほ)ぐと共に、年の始めにあたって一年の無事と平和を祈念する祭儀で、元日の午前5時より斎行されます。同名の祭儀は、全国の神社で行われていますが、旧・皇室祭祀令において「小祭」として定められている正式な宮中祭儀の一つです。本宮内での祭儀の様子は、参道脇の大スクリーンに映し出されて、参拝者も拝観できるようになっています。

【参考記事】鶴岡八幡宮~歳旦祭(2020年)~

神楽始式(1日)

「神楽始式(かぐらはじめしき)」 は、春日大社で奉奏される八名の「御巫(みかんこ)」による社伝神楽が有名ですが、鶴岡八幡宮においても小学生の巫女八名により「八乙女の舞」が奉奏され、一年の神楽奉奏の無事と国家安泰が祈念されます。 なお「八乙女の舞」は、例大祭中の神幸祭においても舞殿及び二の鳥居下の御旅所にて奉納されます。

【参考記事】鶴岡八幡宮~神楽始式・八乙女の舞(2019年)~

元始祭(3日)

元始祭は、旧・皇室祭祀令において「大祭」として定められている宮中祭儀で、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の降臨以来連綿と続く皇位の元始を、天皇自ら祝ぐ「親祭」です。その歴史は意外と新しく、東京遷都後の明治三年(1870年)に始まったもので、宮中での祭儀にあわせて全国の多くの神社でも皇室の弥栄と国の隆昌とを祈念し、同名の祭儀が執り行われます。宮司以下の御神職の皆さんは、真白な「袍(ほう)」に身を包んだ正装で、本宮での祭儀に臨みます。

手斧始式(4日)

鎌倉・鶴岡八幡宮の「手斧始式(ちょうなはじめしき)」は、1191年(建久二年)3月の鎌倉大火で焼失した鶴岡八幡宮の再造営に際して、海上輸送されてきた用材を由比ヶ浜に引き揚げた後、「木遣唄(きやりうた)」にのせて境内まで運び製材・加工した一連の工程を様式化したものとされ、鎌倉の建築業界全体の仕事始めという意味を込めて毎年1月4日に奉納されます。「手斧始式」の中では鎌倉時代に使われていた大工道具(手斧・尺杖・指矩・墨壺・鋸・槍鉋)を使用した用材加工の所作が奉納され、一連の神事を終えた後は、鎌倉鳶衆による「梯子(はしご)乗り」が披露されます。

【参考記事】鶴岡八幡宮~手斧始式(ちょうなはじめしき)2019年~

木遣り唄にのせて御神木が段葛を進んでいきます。

境内に入った御神木は舞殿下に据えられ、伝統的な大工道具による様々な所作が奉仕されます。

手斧始式の後には、地元鳶衆によるはしご乗りが披露されます。

祭務始式(4日)

「手斧始式」と同じ4日には、御神職のみにて、一年の祭務の無事を祈願する「祭務始式」が執り行われます。

除魔神事(5日)

鶴岡八幡宮の「除魔神事(じょましんじ)」は、毎年1月5日に執り行われる儀式で、古くは源頼朝公が武家の事始として文治四年(1188年)正月6日に執り行った「御的始(おまとはじめ)」に遡ることができます。「除魔神事」では、下拝殿(舞殿)の西側に特設会場が設けられ、下拝殿での神事を終えた後「蟇目の儀(ひきめのぎ)」及び「大的式(おおまとしき)」が執り行われます。「蟇目の儀」では、長さ15cmほどの紡錘型の木片(朴又は桐)の中を刳り抜き、前方に「眼」と呼ばれる穴を空けた赤い鏑矢「蟇目鏑(ひきめかぶら)」を、「的革(まとかわ)」に向けて一本射て、天地四方の魔性退散を祈念します。続いての「大的式」では、「射蓆(いむしろ)」から十五間(約27m)離れた「的革(まとかわ)」の前に掲げられた五尺二寸(約156㎝)の大的を目がけて6名の射手が順繰りに各自二本づつ射ます。

【 参考記事】鶴岡八幡宮~除魔神事(じょましんじ)2019年~

神代神楽(7日)

「神代里神楽佐相社中(じんだいさとかぐら さそうしゃちゅう)」及び「市ノ坪囃子保存会(いちのつぼ はやしほぞんかい)」により「神代神楽(じんだいかぐら)」が、舞殿にて奉納されます。この「神代神楽」 は、所謂「里神楽」で、『古事記』などの日本神話を題材に様々な面を付けて演じられます。例えば、令和元年(2019年)には、 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が日向国の阿波岐原(あわきはら)で禊を行い、住吉三神が生まれる場面を描いた 「禊三相(みそぎみっそう)」が演じられました。

御判行事(1日~7日)

鶴岡八幡宮では、新年の元旦から7日までの間、舞殿において「御判行事」が執り行われます。この行事には誰でも参加することができ、初穂料(千円以上)を納めますと舞殿にて玉串拝礼の後、額に御神印を押していただけます。普段、この御神印は御本殿の御神座近くに奉安されており、松の内の間のみ舞殿又は若宮に設けられた御判行事所に遷されて使用されます。
また、舞殿を退下する際には「牛王宝印(ごおうほういん)」の神符を挟んだ木串を、干支が描かれた絵馬を付きで授与されます。現在の「牛王宝印」の神符は、護符として扱われていますが、昔は、「熊野牛王符」が記された有名な「熊野誓紙」と同様に、裏面に起請文を書くなど誓約書の用紙としても利用されていました。

【 参考記事】鶴岡八幡宮~御判行事(ごはんぎょうじ)2019年~

成人祭(成人の日)

1月第2月曜日は「成人の日」です。この日、鶴岡八幡宮では、無事に成人できたことへの感謝と、成人としての自覚を持ち責任を果たすことを誓う 「成人祭」が舞殿にて執り行なわれます。「成人祭」では、祭主の玉串奉奠に続き、 新成人が「玉串」の代わりに「白羽の矢」を立てて拝礼します。

月次祭(毎月15日)

 摂末社の月次祭は、毎月3日に一斉に執り行われます。こちらの様子は、鶴岡八幡宮・五月の祭礼と行事~若葉香る皐月~にてご紹介しております。

左義長神事(15日)

鶴岡八幡宮では、小正月(1月15日)に左義長神事が執り行われます。左義長神事は、全国で広く行われている正月行事で、年の始めに穢れを祓い「歳徳神(とんど様)」にその年の豊作をお祈りする火祭りです。一般には「とんど焼き」「さいと焼き」と呼ばれています。鶴岡八幡宮では、青竹を円錐形に組み上げて、内部に正月に飾った注連縄・角松や縁起物等を積んだ高さ3mを超える二体の「さいと」に、斎主が神事の後に着火し焚き上げます。また焚き上げの間に、直会として、おいでになった皆さんに御神職より「おさがり」のみかんが配られます。

【 参考記事】鶴岡八幡宮~左義長神事(2019年)~

厄除大祈禱(1月下旬)

1月下旬の土日を含む期間には、初日午前9時の「鶴岡厄除大祭」を皮切りに連日「厄除大祈祷」が斎行されます。 「厄除大祈祷」では、舞殿に設えた祭壇の前で厄除け祈願の祝詞を奏上され、続いて巫女による御神楽が奉納されます。その後、参拝者の皆さんは舞殿西側の焼納斎庭に設けられた炉の中に厄難札をくべて、厄除祈願を行います。

最後までご覧いただきありがとうございました。鶴岡八幡宮の1月は、様々な祭礼・行事が目白押しですが、花が少ないこの時季に、目が覚めるほど鮮やかな「ぼたん園」の寒牡丹は必見です。