鎌倉・円覚寺◆境内散歩(その3)◆唐門・大方丈・書院・庫裏等

鎌倉・円覚寺◆境内散歩(その3)◆唐門・大方丈・書院・庫裏等

唐門・大方丈とその付近は、円覚寺の寺務及び臨済宗円覚寺派の宗務を司ると共に日常の諸行事を執り行う建物が集中しています。主要建造物の唐門・大方丈・小書院・大書院・庫裏は何れも関東大震災で倒壊しましたが、第二次大戦前に再建されています。なお普段、一般の参拝者は、書院や庫裏には立ち入ることはできませんが、毎年11月上旬の宝物風入に際しては、展示物を鑑賞しながら内部を拝見することができます。

境内図

唐門(勅使門)

唐門は、大方丈の正門にあたります。延慶元年(1308年)に律令制下において官大寺・国分寺に次ぐ寺格の定額寺に列せられ、都より勅使を迎えたことから勅使門とも呼ばれます。他の多くの建物と同様に幾度となく再建を繰り返してきたと思われますが、現在の唐門は、天保六年(1835年)に建てられ、関東大震災で全壊した後、昭和10年に復旧したものです。

唐門としては小振りではありますが、寺格に相応しく鬼板、拝飾や木口飾の金具には菊の御紋があしらわれ、紅梁下や門扉の応龍の彫り物もなかなか見事なものです。

鬼板
唐破風拝飾り
木口飾り

裏手から見るとこんな感じ。

達磨大師毎歳忌の唐門は、幔幕が張られ、提灯が掲げられています。

紫陽花の頃の唐門前の様子です。

柏槇(びゃくしん)

大方丈前の柏槇は、鎌倉市の天然記念物に指定されている銘木です。

百観音霊場

大方丈前にある百体の観音像は、江戸時代に拙叟尊者(せっそうそんじゃ)が岩窟に泰安した百仏にちなんで、明治期に今北洪川師が百観音として整備したものです。

大方丈

円覚寺の方丈は、定額寺に列せられた延慶元年(1308年)頃には建てられていたものと思われますが、その後幾度も罹災と再建が繰り返されました。現在の大方丈は、関東大震災による倒壊後、昭和四年(1929年)に建て替えられたものです。大方丈の周りの廊下は参拝客に開放され、ていますので、大方丈の内部を拝観し、裏手の方丈庭園をながめることができます。また毎週日曜日には、 ここで日曜説教坐禅会が行われています。

開山忌の大方丈には、幔幕が張られています。

こちらが、大方丈のご本尊・釈迦牟尼坐像です。

裏手に回りますと方丈庭園となっており、心字池を中心に岩と苔が配された禅宗様の庭園が整備されています。

書院

円覚寺には、大方丈に向かって右手に隣接した小書院と、その奥側にあり方丈庭園に面した大書院があります。大方丈に向かうには、通常は庫裏の玄関を入ってから小書院を経由します。

こちらが、大書院です。大方丈と直角に配されており、方丈庭園をL字形に囲む形になっています。

庫裏

小書院の西隣が庫裏となっており、客殿等として使用されています。

信徒会館(宗務本所)

庫裏の西隣が信徒会館となっており、計二百寺を超える臨済宗円覚寺派の宗務本所が置かれています。 座禅会の会場など、信徒の日常の活動の場として使用される他、宝物風入の展示場ともなっています。

こちらは、開山国師毎歳忌の日の宗務本所玄関です。

白鹿洞

白鹿堂は、円覚寺創建に際して、無学祖元の説教を聞きに鹿が集まってきたという故事に由来する場所で、正続院に向かう坂道の起点の南側にあります。

最後までご覧いただきありがとうございました。今回ご紹介した大方丈付近の建物内部を見学するには、毎年11月に催される宝物風入が一番良い機会だと思います。