鶴岡八幡宮~手斧始式(ちょうなはじめしき)2019年~

鶴岡八幡宮~手斧始式(ちょうなはじめしき)2019年~

鎌倉・鶴岡八幡宮の「手斧始式(ちょうなはじめしき)」は、1191年(建久二年)3月の鎌倉大火で焼失した鶴岡八幡宮の再造営に際して、海上輸送されてきた用材を由比ヶ浜に引き揚げた後、「木遣唄(きやりうた)」にのせて境内まで運び製材・加工した一連の工程を様式化したものとされ、鎌倉の建築業界全体の仕事始めという意味を込めて毎年1月4日に奉納されます。「手斧始式」の中では鎌倉時代に使われていた大工道具(手斧・尺杖・指矩・墨壺・鋸・槍鉋)を使用した用材加工の所作が奉納され、一連の神事を終えた後は、鎌倉鳶衆による「梯子(はしご)乗り」が披露されます。

境内の様子

この日の鶴岡八幡宮境内は、正月らしく大石段下でロープによる通行規制が敷かれる大変な賑わいで、中々前に進めずお参りも一苦労でした。



手斧始式の開始

「手斧始式(ちょうなはじめしき)」の神事は、参道左横の大型スクリーンに映し出されていました。これは宮司による祝詞奏上の場面です。

直接見るとこんな感じです。

ご神職の先導により、木製の台車に乗せた御神木が、「鎌倉木遣唄」とともに「ニノ鳥居」から段葛を進んで境内に入ってきます。さらに、台車から降ろされたご神木は、「一番組」「二番組」の法被を着た鳶職の方々に担がれて、「下拝殿(舞殿)」手前に進みます。

関係者の見守る中、神事は進んでいきます。




大工所作の披露

幣振役(へいふりやく)

「手斧(ちょうな)」は、柄の先がカーブを描く形をした鉄製の大工道具で、木材を荒削りするために使用します。


幣振役(斧振り役)が拝礼し、手渡された手斧を御幣のように振るいます。

尺杖役(しゃくじょうやく)

「尺杖(しゃくじょう)」は、柱や梁など大きな用材を切りそろえる際に長さを計るための道具で、一尺(約30cm)毎に墨で目盛を振られています。

「指矩(さしがね)」は、現在でも目にするL字型の金属製大工道具で、材木の長さや直角を測ったり、斜めに切断する用材の勾配を出すための計算尺の役割りを果たします。
また「指矩」と一緒にある車輪の付いた黒い道具は「墨壺(すみつぼ)」です。墨を含ませた綿の中に、車輪に巻きついた糸を潜らせることで糸に墨を付け、その糸を真っ直ぐに伸ばしてから指ではじくことで、用材の上に正確に直線を引くことができます。ここでは尺杖で計った切断箇所に墨で印を付ける道具として使用されています。

尺杖役が、「尺杖」「指矩」「墨壺」を使用して、切断箇所に印を付ける所作をします。

鋸役(のこやく)

用材を切断するための片刃の鋸が手渡されます。

尺杖役が付けた印の箇所に、鋸役が鋸の刃を当て、切断する所作をします。

墨打役(すみうちやく)

墨壺を渡された墨打役は、墨壺を通した糸を弾くことで、御神木を縦に割る方向に墨打する所作を行います。

手斧役(ちょうなやく)

手斧を渡された手斧役は、御神木を荒削りする所作を行います。

槍鉋役(やりがんなやく)

ここで使用される鉋は、見慣れた直方体の「台鉋(だいがんな)」ではなく、江戸時代に台鉋が普及されるまで使用されていた「槍鉋(やりがんな)」です。

槍鉋役が、御神木を削る所作をします。

手斧始式の終了

玉串拝礼

宮司以下の玉串拝礼です。


撤饌

御神酒の瓶子の蓋を閉じる所作をもって撤饌とします。

警蹕(けいひつ)

宮司が「おーー」と発声します。参拝客が多く、式の流れを追い切れなかったのですが、このタイミングであれば「昇神の儀」での「警蹕(けいひつ)」と思われます。

御神職の退下(たいげ)

一連の神事を終え、宮司以下御神職が退下(たいげ)し、社務所に進んでいきます。

御神木の担ぎ出し

鳶衆の皆さんが、手斧始式で使用された御神木を担ぎ出します。


御谷(おやつ)休憩所

鶴岡八幡宮駐車場にある御谷(おやつ)休憩所で甘酒と御神酒まんじゅうをいただきました。御神酒まんじゅうは、一般的な酒まんじゅうより少し日本酒の香りが強めでした。

最後までご覧いただきありがとうございました。この日は、所用のため「梯子乗り」の見物ができなかったのは残念でしたが、大勢の参拝者の中「下拝殿(しものはいでん)」近くで撮影できて幸運でした。

ギャラリー

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