鎌倉・八雲神社~初神楽(湯花神楽)2019年~

鎌倉・八雲神社~初神楽(湯花神楽)2019年~

1月6日は鎌倉大町・八雲神社「初神楽(湯花神楽)」の日で、地元ではおなじみの「鎌倉神楽」が四名のご神職により、午後3時から奉納されました。鎌倉神楽は、今から800年くらい前に、京都・石清水八幡宮より伝わったもので、元々三十六座ほどありましたが、現在は湘南鎌倉地区のご神職有志で構成される「湯立神楽保存会」を中心に十二座が残っています。八雲神社の宮司も「湯立神楽保存会」に参加なさっており、他の神社でも鎌倉神楽を奉納していらっしゃいます。
鎌倉神楽では、「掻湯(かきゆ)」において神主さんが釜で沸かした湯を激しくかきまぜますが、昔はそこに立ち上る湯玉の様子からその年の吉凶を占っていたそうです。現在では、そのノウハウが失われてしまいましたが、演目の一つである「笹舞(湯座)」において笹の葉を湯に浸し参拝客の頭上に散布することで皆の無病息災を祈るなど、釜の湯を中心に儀式が進んでいくことから「湯立神楽」「湯花神楽」とも呼ばれています。

鎌倉神楽の様子

動画を次のようにアップしておりますので、ご覧ください。

初能(はのう)・御祓(おはらい)・御幣招(ごへいまねき)・湯上(ゆあげ)

掻湯(かきゆ)・湯座(ゆぐら)・射祓(いはらい)・剣舞毛止畿(けんまいもどき)

開始前の様子

鳥居の前に初詣と初神楽の案内が掲げられていました。


拝殿前には、笹と御幣が飾られた「山」が設えられていました。

頭頂部の紅白の御幣が神様の憑代となります。

湯釜には既に火の入っており湯気が立ち上っています。

氏子さんが白装束で火の番をしていらっしゃいます。

拝殿前には、鉾と幟が立てられていました。

拝殿内の「案」の上には、供え物が準備されています。

拝殿内の神事

社務所前に四名のご神職が整列します。

四名のご神職が拝殿に登ります。

巫女さん姿のお子さんが拝殿に上り、参列者席に座ります。

祝詞奏上、御祓い、玉串拝礼等の神事が進んでいきます。





龍笛の音と共に、いよいよ湯花神楽の開始です。

湯花神楽

初能(はのう)

鎌倉神楽では必ず奉納される「座」です。米を乗せた白扇と神楽鈴を持ったご神職が舞い、四方に米を散供し、清らかな神楽場を造ります。この日は八雲神社の宮司さんがご奉仕されました。

御祓(おはらい)

まず「献饌(けんせん)」を行い、続いて威儀物、神具類、参列者を御祓いします。さらに二本の小さな御幣と神楽鈴を手に持ち御神酒徳利を小脇に抱えたご神職が湯釜に向かい、湯釜に御神酒を注ぎ、御祓いします。


御幣招(ごへいまねき)

御幣と神楽鈴を持ったご神職が舞い、神の憑代となる「山」の頂上の紅白の御幣に火産霊神(ほむすびのかみ)・罔象女神(みづはのめのかみ)を、また拝殿の「案」上の青と白色の御幣に産土大神(うぶすなのおおかみ)を、お招きします。

湯上(ゆあげ)

笹を束ねた「湯たぶさ」と「神楽鈴」を持ったご神職が拝殿内で舞い、その後「湯たぶさ」「神楽鈴」「手桶」を持って湯釜に進み、「湯たぶさ」を湯に浸し「手桶」にお湯を汲んで神前に献じます。

中入れ(なかいれ)

ご神職は、御神酒を頂き、狩衣を脱ぎ「掻湯(かきゆ)」以降の後段に備えます。

掻湯(かきゆ)

いよいよ湯花神楽(鎌倉神楽)の山場です。御幣と神楽鈴を持ったご神職が舞い、祈念をこめた御幣で沸騰するお湯を掻き廻し、立ち上る湯玉「湯の泡」のあがり具合で今年の作物の豊凶を占います。


湯座(ゆぐら)・笹舞(ささまい)

二人のご神職が「湯たぶさ」を手に舞を演じ、順に湯釜に進み「湯たぶさ」をお湯に浸し四方に振るい「しぶき」を撒きます。この神の息吹は、この世のありとあらゆる物に遠く振り注がれ、豊かな実りを約束します。私は、頭から背中までたっぷりと「湯たぶさ」で撫でていただきました。


射祓(いはらい)

神の宿る弓矢に込められた力で四方の邪気を射祓い、天下泰平・招福除災を祈念します。屋外で奉納されるときは、縁起物の矢を四名に限って頂けるのですが、今回は拝殿内で行われた為、手に入りませんでした。御本殿の方に向かう五本目の矢は、射る動作だけで実際には矢は射ません。

剣舞毛止畿(けんまいもどき)

神楽の終わりに演じられます。天狗が鉾を持って舞い、空中に九字真言の最後の一文字「前」の字を切り、豊年万作・大漁満足・天下泰平を祈念し、邪気・邪霊を鎮めます。また、この途中に黒面の山の神が現れコミカルに舞い、天狗の所作を邪魔するなどトリックスターの役割りを演じながらお菓子やミカンを散供し参列者が平常心を取り戻すことを助けます。なお「剣舞」と「毛止畿」は一応別の演目で、例えば昨年の銭洗弁財天で奉納された鎌倉神楽では「剣舞」だけでした。





御神楽で頂いたもの

ミカンを二つと飴玉をいただき、家族で分けて食べました。また「山」の頂上にあった紅白の御幣を頂いて帰りました。

最後までご覧いただきありがとうございました。これまで何回か鎌倉神楽を拝見しましたが、同じ演目でも神社毎に違いがあり、その都度新鮮です。自分も神事に参加させていただいているんだという満足感が得られる点、お勧めです。

ギャラリー

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