神橋(しんきょう)付近~紅葉の日光遠征記2018(その1)~
- 2018.11.14
- 日光遠征記
先日、紅葉が映える秋の日光に行って参りました。東照宮、輪王寺、二荒山神社、中禅寺といった人気どころも追々投稿しますが、まずは日光の表玄関「神橋(しんきょう)」からこのシリーズをスタートしたいと思います。
日光は、奈良時代末期に勝道上人が開いた霊場で、日光二社一寺(東照宮・二荒山神社・輪王寺)と、それらに纏わる多くの史跡群から構成されています。
◆日光の語源◆
奈良時代末期、この地に霊場を開いた勝道上人は、古峯ヶ原で修行中に北方の山から四色の雲がたなびくのを見て、その山(現在の男体山)が仏教伝説の山「ポータラカ山(漢字表記:補陀落山)」であると確信して登頂を試みました。三度目の挑戦でやっと登頂することができ頂上に社殿を建てましたが、それが現在の「二荒山神社・奥宮」です。ここでお分かりのように、補陀落山(ふだらくさん)から二荒山(ふたらさん)にほぼ同じ読み方ながら充てる漢字が変化しています。
なぜ「二荒」という漢字を該てたかというと、中禅寺(この頃は中宮祠の近くにありました)の鬼門の方角にある羅刹崛という大きな穴から大風が春と秋の二回噴出して寺を壊し、「二荒」と呼ばれていたためだそうです。さらに伝説によれば、その後この地を訪れた弘法大師・空海が、この大風を鎮め、二荒山神社の別宮「滝尾神社(たきのおじんじゃ)」の前身「滝尾権現」を創立した際に、山号「にこう」に充てる漢字を「二荒」から佳名「日光」に改めたとのことです。
☆日光伝言ゲーム☆
ポータラカ→ふだらく(補陀落)→ふたら(二荒)→にこう(二荒)→にっこう(日光)
「神橋(しんきょう)」付近の地図は、こんな感じです。
神橋(しんきょう)
日光の表玄関「神橋(しんきょう)」(重要文化財)は、紅葉にひときわ映える朱塗がとても美しく、古来より「山菅の蛇橋(やまずげのじゃばし)」と呼ばれてきました。当初は現在のような太鼓橋ではなく跳ね橋であったと云われています。
◆山菅の蛇橋◆
天平神護2年(766年)3月、補陀落山(現在の「男体山」)登頂の大願を立てた勝道上人一行は、「大谷川(だいやがわ)」のほとりにたどりつきましたが、激流に阻まれ先に進めません。上人が南岸の山上(現在の星の宮・磐裂神社)で明星天子に祈り、河畔の巨石(明治35年水害で埋没した「高坐石」)に坐して「三帰依文」と「虚空蔵求聞持の呪」を誦したところ、対岸に、右手に赤・青二匹の蛇を纏わらせた「夜叉の如き」神が現われ「我は深沙大王である。汝を彼の岸に渡すべし」というや、たちまちに右手の二匹の蛇が対岸を結び、背に「山菅」を生やして虹のような橋をつくったため、一行は大谷川の激流を渡ることができました。それ以来この「神橋」は「山菅の蛇橋」と呼ばれてきたということです。という訳で、この伝説を基に作られた「リアル」神橋には、川中に橋脚がありません。
下を流れている川が「大谷川(だいやがわ)」です。確かに流れは急ですね。
神橋を渡るには通行料(大人300円、高校生200円、小・中学生100円)が必要で、二荒山神社が管理する社務所で納めます。また、こちらで『神橋』のご朱印も頂けます。
社務所の裏の紅葉は絶品です。
「神橋」自体が神社の扱いなので、鳥居もあります。
深沙王堂
「神橋」で大谷川を渡ったそのすぐ前には、「深沙大王」を祀る「深沙王堂」が建っています。
神号額には「深沙王」と書かれていました。
日光橋正面
「神橋」は勅使や将軍・諸大名のみが渡ることのできる神聖な橋と位置づけられていましたので、普段大谷川を渡る際には、直ぐ横の「日光橋」を使用して来ました。
「日光橋」の正面左手は、二社一寺に続く参道になっており、世界遺産の碑が建っています。
「日光橋」の真正面には「杉並木寄進碑」が建っており、日光東照宮の造営、並びに日光杉並木の整備に尽力した相模国・玉縄藩主の松平正綱・正信親子の事蹟を記念しています。このあたり「湘南鎌倉寺社巡礼」サイトのテリトリーとも不思議と御縁があるようです。
「日光橋」の正面右手は、日光二荒山神社の発祥の地で、現在「別宮」とされている本宮神社の参道となっております。
金谷ホテル
大谷川を渡った側から、神橋の裏手の山を見上げますと、立派な洋館が見えますが、これはリゾートホテルの草分けとして知られる「金谷ホテル」別館です。イザベラ・バードが「日本奥地紀行」(東洋文庫)の中で取り上げていたホテルで、ちょっと感激。今回は、寺社参りで手いっぱいのため中に入る時間がなくて残念でした。
最後までご覧いただきありがとうございました。これから断続的になるとは思いますが、日光遠征記の続きを投稿していきますので、よろしくお付き合いください。
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