鶴岡八幡宮~ぼんぼり祭り2018~三十選「書」編
- 2018.08.14
- お祭り
今回、シリーズ最後の第4回目では、達筆ぞろいの「書」を取り上げます。
彩色された絵画はせっかくの蝋燭の光を覆い隠してしまい夜になると見栄えしなくなる作品もありますが、「書」は日暮れてこそ蝋燭のゆらぎが「ぼんぼり」に映え、美しく鑑賞できます。
献納「ぼんぼり」三十選~「書」編
海辺の町で夏の楽しみと云えば花火と夏祭り。でも終わってしまえば、お月さんしか残っていません。その月さえか細い新月となれば、今年はもう8月半ばです。ろうそくの灯りにゆらぐ一句最後の「月」の字さえも、か細く流れ去ってしまいそう。
渚で拾い海に投げ返した貝殻は、星の形をしてました。まるで七夕が終わって輝きを失った織姫と彦星のようです。誰も見てない海で私だけの七夕おくり・・・。夏休みに帰省してきた遠距離恋愛中の彦星さんとはうまくイケたのでしょうか。正月にはバッチリ決めてくださいネ。ぼんぼりの左右の縁のラインに沿って、下に向かうほど内側に切れ込むシッカリ目の行書が、淡い灯りに映えます。
あの日の二人は再び会えたのだけれど、真白な心は何も変わっていないのだけれど・・・。いつの世にも、大人の事情があるんですよね。記憶の果ての遠い夕焼けのように淡く描かれたアーチを背に綴られた、サイズも配列も不揃いな文字達が、二人の「拙さ・幼さ」を象徴しているかのようです。大東亜戦争前夜に弱冠24歳で亡くなった詩作者の立原道造さんは建築家でもあります。
そろそろ日が落ち始めた午後、「緋目高(ひめだか)」が小さく群れる庭の小池の面を、涼やかに風が渡り、ぼんぼりの「風」の字までが「ゆらり」たなびいています。澄んだ水面にはしっかりと青空と白雲と午後の太陽が映り込んでおり、魚達は、まるで空を泳いでいるようです。
星野さんGood Job!ですね。
咲いているのは紫蘇の花でしょうか。草原にゴロリ寝転がって青空を見上げると、真白な千切れ雲がおおらかに流れて行きます。雲に行方を尋ねても何にも答えてはくれません。でも彼の大好きな「いわき平」をゆったりゆったりと渡って行くことくらい、彼には最初から解ってるんです。何度もは墨に浸すことなく、筆はさらさらと運ばれます。大きく、小さく、濃く、薄く、漢字まじりの平仮名は、千切れ雲のように何の屈託もなく流れて行きます。
献納「ぼんぼり」三十選ギャラリー
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