一ノ鳥居◆鶴岡八幡宮・境内散歩(その1)◆
- 2019.02.15
- 境内散歩
鶴岡八幡宮の参道である若宮大路には、「一ノ鳥居」「ニノ鳥居」「三ノ鳥居」の三つの大きな鳥居があります。 どの鳥居も何度か建替えられていますが、源頼朝が治承四年(1180年)に造営して以来木造だったものを 寛文八年( 1688年)に 将軍・徳川家綱が石造に建替えました。しかし関東大震災で何れの鳥居も倒壊し、その後、今回取り上げる「一ノ鳥居(浜の大鳥居)」のみが、石造の原型を留め再建されました(他の二つはコンクリート製)。 なお「一ノ鳥居」 は、日光東照宮の石鳥居、京都八坂神社の石鳥居と並び「日本三大石鳥居」に数えられ、重要文化財に指定されています。
なお鶴岡八幡宮のご由緒、ご朱印、年中行事、季節の花々、アクセス等につきましては、以下のリンクをご覧ください。
⇒鶴岡八幡宮へ
若宮大路の鳥居
若宮大路の三つの大鳥居を、写真で順にご紹介するとこんな感じ。
現在は、表玄関のJR鎌倉駅・東口が 「ニノ鳥居」 の手前にあるため、鶴岡八幡宮にお参りする皆さんは、島森書店前の「鎌倉駅入口」交差点を左に曲がり 「ニノ鳥居」をくぐって「段葛」に沿って進んでいくことが多いと思います。
しかし鎌倉時代に西の方から鎌倉市街に入る場合は、極楽寺坂を越えて由比ヶ浜沿いの街道を進み、滑川河口手前で左折し、若宮大路を北に向かうルートを取ったため、 「一ノ鳥居」 は、鎌倉駅より 600mくらい 南にあります。
鎌倉駅から「一ノ鳥居」へ
鎌倉駅から 「一ノ鳥居」 に行くには、 「鎌倉駅入口」交差点 を右に曲がって若宮大路を 南に向かい、JR横須賀線のガードをくぐり、下馬四つ角交差点をさらに300mほど進みます。
「一ノ鳥居」について
「 一ノ鳥居」は、 高さ8.5m、柱の直径92cmという大きな明神鳥居で、岡山県の犬島より運ばれてきた花崗岩でできています。東側の柱上部には「寛文八年戊申八月十五日 御再興 鶴岡八幡宮石雙華表」と彫られています。
「華表」 とは、中国において、宮殿・陵墓等の象徴として参道の両脇に立てられる一対の石の柱のことで、日本の神社では「鳥居」とりわけ「石鳥居」の意味で使われます。あたまの「石雙(せきそう)」は 「石でできた二本の」という意味ですので 「石雙華表(せきそうかひょう) 」 というと、さらに念入りに「石鳥居」を表現したことになります。
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◆徳川秀忠御台・崇源院の夢
寛文の建替えの際に備前・犬島の石を使うことになったのは、徳川秀忠御台(夫人)の崇源院に「備前国犬島に奇石あり、その石を以って鶴岡社前の大鳥居を建立し給ふべし」との八幡大神の夢のお告げがあったためだそうです。
関東大震災後で倒壊した後に再建された際の様子が西柱の根元にある「鶴岡八幡宮国宝大鳥居重修の記」という記念碑に記されています。
関東大震災後で倒壊した後に再建された際は、できるだけ従来の石を再利用しましたが、再利用できない部材には、造立時と同じ犬島から取り寄せた石を使ったそうです。例えば、西柱の沓石の北側の石(写真の奥側) は、新しい石ですので、少し白いのが分かります。
昭和11年の再建の様子は、こんな感じ。
浜の大鳥居跡
なお、現在の「一ノ鳥居」の北方200mくらいにある鎌倉女学院横の交差点付近に、北条氏綱が天文22年(1553年)に建てたとされる「旧・一ノ鳥居(浜の大鳥居)」 の跡が見つかっています。室町時代までは、このあたりまで段葛が伸びていたようです。
発掘された柱は木製で、なんと直径が1.6mもありました。今の石造の鳥居は0.92mですので、約1.7倍の太さです。当然そのような大木を一本丸ごと持ってくるのは困難ですので「契(ちぎり)」技法による寄木造りでした。また地中には、大変深く埋まっておりまして、地中深度は不明とのことです(調べて欲しかった・・・)。なお、このあたりは深くまで砂地で、固い岩盤に届くまで掘ることは難しいため、倒れにくいよう地表下1.6mのところに南北方向の梁材を通していました(合理的な技法ですね)。
この西柱と若宮大路を挟んで反対側に東柱の跡があります。こちらは歩道の敷石の色を少し変えて 円く敷きつめています(黄色い点字ブロック付)。しかし、もし其々が東西の柱だとすると、この両柱間の幅は、若宮大路をしっかりと跨ぐことになり、現在の石造・一ノ鳥居よりはるかに広くなってしまうのですが・・・。どれだけの高さがあったのか想像を超えます。
「浜の大鳥居跡」の西柱の場所から、現在の「一ノ鳥居」を撮影してみました。歩道橋の下の赤信号のさらに下に小さく見えるのがそれです。
如何でしたでしょうか? 鳥居一つとっても色々と云われがあるものですね。これから少しづつ鶴岡八幡宮の境内をご紹介して行きますので、よろしくお付き合いください。
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