鎌倉・来迎寺(西御門)◆境内散歩◆
- 2018.10.28
- 境内散歩
鎌倉には来迎寺と名前の付くお寺は二か所ありまして、ここでご紹介する満光山来迎寺は、横浜国大付属小学校の東側の道をさらに奥に入った西御門にあります。もう一方の随我山来迎寺は材木座にありますが、両寺共に藤沢の遊行寺(清浄光寺)の末寺となっております。境内の主な建物といえばご本堂と庫裡のみの普通のお寺さんといった趣ですが、鎌倉以来の奥行ある歴史をお持ちで、「如意輪観音半跏思惟像」「岩上地蔵菩薩坐像」など其々に伝説を背負った仏像・文化財を所蔵していることでも知られています。現在は、鎌倉三十三観音霊場の第五番札所、鎌倉二十四地蔵菩薩霊場の第二番札所、鎌倉十三仏の第十番札所をお勤めです。
なお来迎寺(西御門)のご由緒、ご朱印、年中行事、季節の花々、アクセス等につきましては、以下のリンクをご覧ください。
⇒来迎寺(西御門)へ
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来迎寺(西御門)の魅力
◎一体一体に深い云われが込められた如意輪観音半跏思惟像・地蔵菩薩坐像・跋陀婆羅尊者立像等の貴重な文化財
◎鎌倉三十三観音霊場、鎌倉二十四地蔵尊霊場、及び鎌倉十三仏霊場という鎌倉主要三霊場の札所を兼ね、鎌倉北東部巡礼の「HUB」となっているお寺の一つ
境内の様子
まず、来迎寺の門柱手前の石段を登ります。
石段の登り口右側には、三つの霊場の札所を示す寺名碑が立っています。
左側には、この付近が鎌倉尼五山筆頭であった大平寺の跡であることを示す石碑が立っています。
大平寺は、弘治元年(1556年)の里見義弘による鎌倉侵攻をきっかけに廃寺となりましたが、仏殿は、円覚寺塔頭の正続院・舎利殿として移築され国宝指定されており、ご本尊の木造聖観音立像は、鎌倉尼五山第二位の東慶寺・松ヶ岡宝蔵に安置されています。
門柱は、最近新調されたもので、傍らに石碑も建っています。
さらに先の石段を上がりますと、ご本堂です。
ご本堂の中央には、鎌倉十三仏霊場第十番札所本尊の阿弥陀如来様がいらっしゃいます。
来迎寺ホームページより
向かって右側には、鎌倉三十三観音霊場第五番札所本尊の「如意輪観音半跏思惟像」(神奈川県重要文化財)が安置されています。ゆったりとした姿勢でやさしく微笑む、ふくよかなお顔の観音様は、元々は源頼朝の持仏堂であった法華堂(現在の頼朝の墓付近)に安置されていたもので、北条政子の持仏と伝えられています。また、胎内には「由比の長者」の娘の遺骨が納められているとも云われています。三段に結ばれた蓬髪と、ゆったりと二段に垂らした衣から、宋朝様式が取り入れられていることが見て取れ、また鎌倉地方独特の様式である「土紋」による衣の装飾が施されているところも特徴的です。
神奈川縣文化財圖鑑より
◆由比の長者の伝説
「由比の長者」と呼ばれた武将・染屋時忠は3歳になるひとり娘を大鷲にさらわれてしまいました。懸命に探しても見つけることができず、娘のものと思しき骨肉片を見つけては塔を建て供養したとのことです。その場所は複数個所あり「塔の辻」と呼ばれていますが、来迎寺の如意輪観音の胎内にもその一部を納めたと伝えられています。染屋時忠は8世紀ごろの人で如意輪観音像が造られた南北朝期とは時代に開きがありますが、何れかの「塔の辻」の供養塔にあった遺骨を後に如意輪観音像の胎内に納めたのかも知れません。
ご本堂内には、他に二体の仏像が安置されています。
まず「跋陀婆羅尊者立像」(鎌倉市重要文化財)です。こちらは旧・報恩寺(臨済宗。開山:義堂周信、開基:上杉能憲)に安置されていたものと考えられていますが、正確なところは不明です。「首楞厳経(しゅりょうごんきょう)」に登場する菩薩で、水浴の際に我と水とが一如であると悟ったことから禅宗のお寺では浴室にいらっしゃることが多く、おそらく報恩寺でもその様であったと思われます。なお時宗の来迎寺ではランクアップ(?)してご本堂の左手に安置されています。
「鎌倉の文化財」(鎌倉市教育委員会)より
もう一体は「岩上地蔵」と呼ばれている鎌倉二十四地蔵霊場第二番札所本尊の「地蔵菩薩坐像(宅間浄宏作)」(神奈川県重要文化財)です。こちらも旧・報恩寺のご本尊でしたが、現在は来迎寺に安置され、子どもの守り本尊として親しまれています。
旧・報恩寺が臨済宗であった関係からか、関東の禅寺でよく見られる「法衣垂下」様式で造形されており、衣の裾を台座から下に垂らしていらっしゃるのが特徴的です。
神奈川縣文化財圖鑑より
ご朱印は、ご本堂に向かって左手、ご本堂と渡り廊下で繋がっている庫裡でいただけます。
ご本堂の右前方には、供養塔があります。
庫裡の前庭には、ところどころにきれいな花が見られます。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
鎌倉の主要三霊場の札所を兼ねているため、ご朱印を頂く度に訪れることになることから、地元のご朱印ファンの皆さんにはおなじみのお寺ですが、観光コースからは少し外れているおかげで、落ち着いて参拝できます。
こちらのページもご参考にどうぞ
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