鎌倉・極楽寺◆境内散歩◆
- 2018.09.30
- 境内散歩
極楽寺は、鎌倉中心部とは少し距離があるものの、江ノ電・極楽寺駅のすぐ横にあり参拝にはとても便利なお寺です。現在の稲村ケ崎小学校の敷地を中心に、かつては四十九の子院を擁する大寺であり、鎌倉でも有数の文化財の宝庫として知られています。開基は北条義時の三男・北条重時で、正元元年(1259年)に深沢の念仏系寺院を移転したことに始まりますが、北条重時の子の北条長時が伽藍を整備し、開山・忍性が文永四年(1267年)に赴任した時点が実質的な創立と云えます。現在、鎌倉三十三観音霊場22番札所、鎌倉二十四地蔵菩薩霊場20・21番札所、鎌倉十三仏霊場12番札所、東国花の寺百ヶ寺 鎌倉1番札所を勤めています。花の寺に相応しく春の桜、夏の百日紅など、四季折々の花が楽しめます。
なお極楽寺のご由緒、ご朱印、年中行事、季節の花々、アクセス等につきましては、以下のリンクをご覧ください。
⇒極楽寺へ
※写真をクリックすると拡大します。
極楽寺の魅力
◎まるでトンネルのように覆いかぶさる参道両脇の桜並木の枝ぶり
◎本堂前でひと際目を引く濃い桃色の百日紅の大木
◎釈迦如来立像・不動明王坐像・十大弟子立像等国指定の重要文化財を含む数多くの寺宝・遺跡
◎鎌倉三十三観音・鎌倉二十四地蔵尊・鎌倉十三仏等の多くの霊場札所を勤める鎌倉巡礼の中心寺院の一つ
境内図
極楽寺駅から山門まで
JR鎌倉駅から極楽寺には、江ノ電を利用するのが便利です。極楽寺の駅は、ターミナル駅とは違う「手作り感」のある外観が魅力的です。桜の頃など観光シーズンは大変な賑わいですが、スイカ専用の半自動改札なので、普段の切符のお客さんは自然と駅員さんとの会話が成立し「ベルトコンベア的に輸送されている感」から少し解放されます。
改札を出て、少し鎌倉側に進むと左手に、江ノ電をまたぐ「桜橋」が架かっています。ここから、極楽寺駅の手前にある「極楽洞」という素敵なネーミングのトンネルを桜の頃に撮影すると、こんな感じです。
山門付近
桜橋を渡ってすぐ左手、線路沿いを江の島方面に進むと右側に極楽寺の山門があります。
山門前は、紫陽花も素敵なのですが、夏場の芙蓉もなかなかのものです。
寺号碑が山門左手に立っています。
山門右手のくぐり戸を抜けると境内に入れます。が、ここからは撮影禁止なのが残念です。
山門から中を撮影すると、桜の頃はこんな感じです。
初夏の若葉がきれいな頃は、こんな感じです。
夏のイベント「長谷の灯かり」で公開された夜の参道は、こんな感じ。
境内
これからは、前記の境内図を参照していただけると助かります。
なお、昔の大きかった頃の極楽寺の伽藍の絵図がありますが、こんな感じです。現在の極楽寺の敷地は、絵図中央下部の二王門から四玉門にかけてのあたりと思われます。当時の中心部は四玉門より奥の部分で、現在は稲村ヶ崎小学校の敷地に重なります。
極楽寺境内絵図(江戸時代)
「鎌倉国宝館図録」(鎌倉国宝館)より
ご本堂
山門を入り桜並木をまっすぐ進むと突き当りがご本堂です。ここには、須弥壇中央の不動明王坐像、及び向かって右側の薬師如来坐像の他、以下のような文化財が安置されています。毎年、灌仏会の前後4月7日から9日までの3日間のみの御開帳です。
文殊菩薩坐像(鎌倉市文化財)→須弥壇向かって左側
「鎌倉国宝館図録」(鎌倉国宝館)より
木造思円房叡尊(興正菩薩)坐像 (鎌倉市文化財)→本堂内の左奥
「鎌倉国宝館図録」(鎌倉国宝館)より
木造 良観房忍性(菩薩)坐像(鎌倉市文化財)→本堂内の右奥
「鎌倉国宝館図録」(鎌倉国宝館)より
宝物館(転法輪殿)
ご本堂に向かって右手にあるのが「宝物館(転法輪殿)」で、以下の期間の土・日・祝日のみ公開されています(拝観料300円)。
1月1日~1月15日、3月19日~6月25日、9月16日~11月26日
なお、普段は厨子に格納されている木造釈迦如来立像については、毎年、灌仏会の前後4月7日から9日までの3日間のみの御開帳で、宝物館の拝観料は500円となります。
展示されている主な文化財は、以下の通りです。
木造釈迦如来立像(国重要文化財)
「重要文化財」(毎日新聞社)より
木造釈迦如来坐像(国重要文化財)
「重要文化財」(毎日新聞社)より
木造十大弟子立像(国重要文化財)
「重要文化財」(毎日新聞社)より
木造不動明王坐像(国重要文化財)
「重要文化財」(毎日新聞社)より
千服茶臼・製薬鉢
宝物館(転法輪殿)の前にあります。開山・忍性菩薩が施薬悲田院・癩病所を設けた頃に、使用していたとされる道具です。
大師堂
宝物館(転法輪殿)に向かって右側にあり、如意輪観音が安置されています。
ご朱印所
ご本堂に向かって左側にご朱印所がありますので、鎌倉三十三観音、鎌倉二十四地蔵尊等、頂きたいご朱印をはっきりと伝えて拝領してください。
奥の院
稲村ヶ崎小学校のグラウンドの西側山腹に極楽寺の奥の院(墓地)があり、石段を上った先に開山・忍性菩薩の五輪塔「忍性塔」(国重要文化財)が建っています。灌仏会(4月8日)のみ拝観できます。
導地蔵堂
極楽寺でご朱印を頂ける鎌倉二十四地蔵尊霊場・第20番札所のご本尊は「導地蔵」様ですが、現在の境内ではなく、桜橋の袂の「導地蔵堂」に安置されています。昔、大寺であった頃は、境内であったであろう場所です。
子供を守り育ててくれる導地蔵様の視野の範囲では、災難が起きないとされています。
月影地蔵堂
極楽寺駅から桜橋を渡り、導地蔵堂を右手に見て、稲村ヶ崎小学校の渡廊下を潜りさらに直進し、左手・三本目の道に入って行くと、左に小さいながらもきちんと立てられた月影地蔵堂が見えます。
普段より開いている扉の中には、月影地蔵様がいらっしゃいます。その昔、母と別れた悲しみから亡くなった幼い娘がおり、その菩提を弔うため、後に地蔵堂が建てられた場所が月影ケ谷であったことから「月影地蔵」と呼ばれるようになりました。なお現在の場所には、火災のため移転して来たそうです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
どの季節に訪れてもお花の美しいお寺です。また宝物館(転法輪堂)も、重要文化財がずらりと並ぶ様は壮観ですので、あまり仏像にご興味のない方にも、是非一度覗いていただければと思います。
こちらのページもご参考にどうぞ
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