鶴岡八幡宮例大祭2018~献華会~
- 2018.09.18
- お祭り
鶴岡八幡宮の例大祭では、9月15日・16日に献華会が開催され、沢山の作品が出展されました。
これらの中から、私なりに気に入った作品を10点ほどご紹介したいと思います。
永野貫玉社中
永野貫玉先生は、上代古流の御家元です。草木の自然の形を重視した質実剛健な生華を特徴となさっています。
櫛原美玉さんの作品
向かって左端に置かれていた作品で、最初に目にしました。
小菊と鈴ばらの紅白のコントラストが鮮やかです。縦に長い作品ですが、下半分にボリュームある真白な小菊と緑のドラセナを配置し、花瓶の位置を少し左に寄せることでバランスが取れています。
三橋静玉さんの作品
ピンクの花は秋海棠、薄青がかった白の花は下野でしょうか。野に咲く花をそのまま花かごに摘んできたような、如何にも御家元の流儀を体現した作品です。
川生真玉さんの作品
吾亦紅の赤、鶏頭のピンク、竜胆の青、女郎花の黄、葉物の緑といった原色を漏れなく組み合わせた作品ながらも、素材を上手に選び、全体として少しトーンを落としたやさしい色調でまとめておられます。
嶽孝玉さんの作品
三方に長く伸びた少しアンバランスなアレカヤシの緑の根元を、ダリアの紫がしっかりと押さえます。中心に散りばめられたカスミソウが意外な存在感を示している作品です。
北村幸玉さんの作品
白い水盤の上に、野に咲く竜胆と野鶏頭を再現したような作品です。葉の間からてんとう虫でも這い出て来そうな自然体が心地良く映ります。
鎌倉国際華道協会
鎌倉国際華道協会は、戦後の混乱期以来、地元の華道振興を図るべく鎌倉在住の各流派が結集して、息の長い活動を続けてこられました(今年70周年を迎えられたそうです)。今回、出展された作品を拝見する限りでは、素材のボリューム感を敢えて抑える反面、モダンな花器を積極的に用いた現代的な作風が多いように感じられました。
徳田幸華さん(池坊)の作品
首のない丸い土塊のような小口の花瓶が三つならんでいます。小さな花瓶に対してアンバランスなほど長く伸びる吾亦紅の根元には、濃い紫の薔薇、女郎花、ブルースターと赤い小花等を並べて安定感を保っています。其々に投げ入れた素材はほぼ同じ構成ですが、裏側の白い花瓶では紫の薔薇のポジションを変え、最前面の吾亦紅の根元には窄めた唇のような朱の小花を置くなど微妙なアクセントの違いが楽しめます。
安藝朋華さん(池坊)の作品
縦長の洋風花瓶に、濃い色調の洋菊(フエゴ)と桐の実等が盛られています。全体としてゴシック調にまとめられ、油彩の静物画のように重厚なイメージの作品です。
山中樹翠さん(池坊)の作品
黒い高坏のような花瓶の丸く水平な肩には、小口を中心に水紋が広がるイメージが浮かびます。ただ一輪の鶏頭を際立たせるために、野ばらの実や葉物を慎重に配置しています。
作者未確認の作品1
茎や葉脈まで赤い鶏頭を軸にドラセナをあしらい、根元に竜胆を配置することでバランスを整えています。頂上に赤い模様の葉を広げ、すらりと伸びた鶏頭は、番傘をさした浴衣姿の美人画のようにも見えます。
作者未確認の作品2
長方形の水盤の右側の盛り上がりは、日本庭園の蓬莱島を模したものでしょうか。女郎花、野鶏頭に竜胆と、季節の花・三品でまとめた作品です。女郎花で幅を持たせ、野鶏頭が縦線を描き「面」を意識した造りになっています。蓬莱島の竜胆の青が右脇を引き締めます。
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