鎌倉・浄光明寺◆境内散歩◆

鎌倉・浄光明寺◆境内散歩◆

浄光明寺は、鎌倉駅西口からJR横須賀線沿いに今大路を北鎌倉方面に進み、JR横須賀線・寿福寺踏切を渡った先の泉ヶ谷と呼ばれる谷戸にあります。真言宗・泉涌寺派の準別格本山として高い寺格を誇り、創建以来、北条得宗家、足利将軍家、鎌倉公方等その時代毎の有力者の保護を受け、重厚な歴史を積み重ねてきました。また重要文化財「木造阿弥陀三尊像」を始めとした多くの文化財を所蔵していることでも知られています。現在では、鎌倉三十三観音霊場、鎌倉二十四地蔵菩薩霊場、鎌倉十三仏霊場等の札所を兼ねておられ、いつの季節も参拝者が絶えません。

なお浄光明寺のご由緒、ご朱印、年中行事、季節の花々、アクセス等につきましては、以下のリンクをご覧ください。
⇒浄光明寺へ

※写真をクリックすると拡大します。

浄光明寺の魅力

◎鎌倉時代から室町時代にかけて時の為政者と共に歩んだ重厚な寺史

◎長い歴史の中で収蔵されてきた重要文化財「木造阿弥陀三尊像」を始めとする数多くの文化財

◎鎌倉三十三観音霊場、鎌倉二十四地蔵菩薩霊場、鎌倉十三仏霊場等の多くの札所を兼ねるに相応しい鎌倉諸寺有数の達筆のご朱印

境内図

下境内の様子

お寺の入口には、藤谷黄門遺蹟の碑が建っています。中納言を退くと「黄門」と尊称されますが、ここにある「藤谷黄門」とは、鎌倉連歌の発展に功績のあった中納言・冷泉為相を指します。為相は、歌壇の歴史に残るビッグネーム藤原定家の孫で、「十六夜日記」作者・阿仏尼の息子でもあり、ここ浄光明寺に葬られています。

藤谷黄門遺蹟の碑から山門に続く参道に沿った塀は五本の筋塀となっており、門跡寺院クラスの格式を表しています。

現在の山門は、簡素な四脚門ですが、もともとは英勝寺創建時の惣門であったもので、鎌倉市の文化財に指定されています。

山門を入った正面は、本堂ではなく、客殿です。ここには、元寇に際して敵の調伏を祈祷した「木造愛染明王像」(非公開)が安置されています。

客殿に向かって左側が庫裡になっており、ご朱印はここで拝領します。

客殿に向かって右側には、鐘楼があります。

鐘楼の左隣は「不動堂」となっています。「八阪不動明王像」が安置されており、除夜の鐘の期間中のみ公開されます。

◆八阪不動明王の由緒
一条戻橋の伝承で有名な怪僧・浄蔵貴所が、傾いた京都・法観寺(旧・八坂寺)の五重塔を法力でもとに戻した際に祈祷したのが、この不動明王様であったことから「八阪不動明王」と呼ばれています。
※一条戻橋の伝承・・・浄蔵貴所が、この橋の上で、亡き父・三善清行の棺にすがり祈ったところ、清行が一時的に生き返った。

季節には、不動堂と十三重の石塔の間に梅の花が咲きます。

「鎌倉十三仏」第九番札所のご本尊「勢至菩薩坐像」です。死後の世界では「都市王」に垂迹し一周忌を司ります。

上境内の様子

下境内から石段を上りますと、右手に虚空蔵菩薩像があります。

石段の正面は、ご本堂の阿弥陀堂(仏殿)となっております。こちらには元々、重要文化財のご本尊・阿弥陀三尊像が安置されておりましたが、ご本尊が収蔵庫に移されて後は、須弥壇上に、三世仏(釈迦如来・阿弥陀如来・弥勒如来)が安置されています。

ご本堂内左奥の「祖師堂」には「木造真聖国師像」、右奥の「土地堂」には「木造北条長時像」が安置されています。

「木造真聖国師像」(「鎌倉の肖像彫刻(鎌倉国宝館)」)より

阿弥陀堂に向かって左側には、防火設備の整った収蔵蔵があります。

ここには、重要文化財のご本尊・阿弥陀三尊像が安置されており、本来ご本堂と呼ぶべき建物となっております。

勢至菩薩坐像 阿弥陀如来坐像 観世音菩薩坐像

「神奈川縣文化財圖鑑(神奈川県教育委員会)」より

また、鎌倉二十四地蔵尊霊場第十七番札所のご本尊「矢拾地蔵尊」もここに安置されています。

「木造彩色地蔵菩薩立像」(「神奈川縣文化財圖鑑(神奈川県教育委員会)」より)

収蔵庫の右隣は観音堂となっており、鎌倉観音巡礼第二十五番札所本尊の千手観音が安置されています。

阿弥陀堂の右横には、代々鶴岡八幡宮の神主を勤めた大伴神主家墓所があります。

観音堂の奥には、網引地蔵が安置されたやぐらに向かう登り口があります。

石段を上ると、崖下のやぐらの中に鎌倉二十四地蔵尊霊場第十六番札所のご本尊「網引地蔵」様が安置されています。

さらに奥の石段を登りますと冷泉為相の宝篋印塔があります。

このほかに、重要文化財「石造浄光明寺五輪塔(覚賢塔)」も、毎年四月の鎌倉まつり期間中のみ公開されています。

「鎌倉の五輪塔(鎌倉国宝館)」より

最後までご覧いただきありがとうございました。
浄光明寺付近は鎌倉駅からは少し離れており公共交通機関のないエリアです。しかし、足に自信のある方は、浄光明寺に立ち寄ったあと、薬王寺横を進み、亀ケ谷切通しを通って北鎌倉・長寿寺横に出るコースもありますので、一度試してみてもよいと思います。

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