第60回鎌倉薪能(2018年)

第60回鎌倉薪能(2018年)

先日、恒例の鎌倉薪能に行って参りました。

今年は第60回ということもあり、10月5・6・7日の3日間の講演予定でしたが、初日(10月5日)の宝生流「乱(みだれ)」公演は残念ながら中止となり、実質的には例年と同じ2日間の開催となりました。
私は3日目(10月7日)の金春流「石橋(しゃっきょう)」公演を予約しておりましたので、運よく観ることができました。

鎌倉薪能とは

「薪能」は、夜間「かがり火」の中,屋外に設えた能舞台で演じられる能楽で、もともと神事として行われていました。興福寺の「薪御能(たきぎおのう)」が、その源流とされています。
鎌倉宮(大塔宮)に奉納される「神事能」である「鎌倉薪能」は、金春宗家の指導の下、昭和34年に始まり、その後途切れることなく今年で60回目を迎えております。
金春流は、遠祖・秦河勝以来、春日大社・興福寺と深いかかわりのある流派で、シテ方五流派の中でも最古の伝統を誇り、古式を重んじる鎌倉薪能に相応しい家柄と云えます。
これまで、60回の演目は次の通り。

第60回(2018年)の演目

以下のような演目が予定されていました。

第一日目(10月5日)

第二日目(10月6日)

第三日目(10月7日)

各公演のスケジュール

各日の公演の流れ

神事の説明

会場設営後の境内の様子

平らな境内に仮設スタンドを組上げ、約1000席を確保しています。

座席表は、こんな感じです。正面(舞台に向かって仮設スタンドの右半分)は、前方よりS席・A席・B席と順に並び、「橋掛り」横の脇正面は、全てS席、中正面(舞台に向かって仮設スタンドの左半分)は、前方がA席、後方がB席となっています。

通常のお手洗いの他、仮設トイレを追加設営しています。

当日は、薪能弁当を販売する弁当屋さんが並ぶブースです。「御代川」「鉢の木」「大船軒」といったあたりが顔を揃えます。

開演前

17時を過ぎるとそろそろ暗くなってきました。周囲の樹々から聞こえる鈴虫の声が雰囲気を盛り上げてくれます。外人さんも多く見かけました。

少し早いので、観客の数もまだまだです。

開演前に腹ごしらえをしました。醤油と鰹昆布出汁ベースで丁寧に味付けしたオーソドックスな若宮大路「御代川」の和弁当は、年配の方の舌にも合うやさしいお味でした。


連れが食べた北鎌倉「鉢の木」の和弁当も、中々美味しそうでした。

休憩時間

狂言「蝸牛」の後「神酒賜りの儀」が終わると25分間の中休みがありました。多くの方が席をお立ちでした。

正面に二の鳥居と拝殿が見える私の席は、神様と直接向き合う感覚が味わえて、幸運でした。

この日は、満席にはなっておらず、A席に空席が目立ちました(そういえば、当日入場も受け付けていました。)

「火入れ式」で神職→巫女→正・副奉行と手渡され着火した「御神火」は、左右の「かがり火」として舞台を照らします。


「橋掛りの松」です。

「鏡の間」と舞台を仕切る、五色の「揚幕」と提灯です。

舞台の上空はぐるりと注連縄が張り巡らされ、舞台自体が結界となっています。

終演後

休憩後演じられた本日のメイン「石橋・群勢」は、「半能」でしたので、後半は20分で終演となりました。
能楽師のみなさんが演じた舞台は、すり足でも平気なように真っ平です。

金春流宗家八十一世の金春憲和(こんぱるのりかず)さんです。観客の皆さんとの記念撮影に応えてくれました。

出口でアンケート用紙を提出し外に出て振り返ると、「鎌倉薪能」と書かれた提灯がズラリと掲げられていました。

最後までご覧いただきありがとうございました。
何分、公演中は写真撮影ができないため、舞台の様子をお伝えすることができないのは、とても残念ですが、チケットの入手もそれほど困難ではありませんので、来年はぜひ鎌倉にお出でいただき「鎌倉薪能」をライブでご覧いただければと存じます。