鎌倉・海蔵寺◆境内散歩◆
- 2018.10.07
- 境内散歩
海蔵寺は、鎌倉駅西口からJR横須賀線沿いに今大路を北鎌倉方面に進んだ扇ケ谷・最奥部の谷戸にあります。元々真言宗のお寺があった現在の場所に、鎌倉幕府六代将軍・宗良親王の命により創建されましたが、鎌倉幕府滅亡の際に焼失してしまいました。その後改めて、応永元年(1394年)に、鎌倉公方重臣・上杉氏定の中興開基、心昭空外の中興開山により、今に繋がる海蔵寺が出来上がりました。現在は、「鎌倉三十三観音」「鎌倉二十四地蔵尊」「鎌倉十三仏」等の札所を兼ねていることから、鎌倉ご朱印巡りの参拝客にはなじみの深いお寺となっています。また、東国花の寺百ケ寺の札所に相応しく境内の整備に力を入れておられ、どの季節にお参りしても、それぞれに美しい花々が楽しめます。
なお海蔵寺のご由緒、ご朱印、年中行事、季節の花々、アクセス等につきましては、以下のリンクをご覧ください。
⇒海蔵寺へ
※写真をクリックすると拡大します。
海蔵寺の魅力
◎拝観しやすい平らな境内に詰め込まれた四季折々の花と樹々の移ろい
◎中興開山・心昭空外にまつわる「殺生石」「啼薬師」「十六井戸」の伝説
◎本殿裏に心字池を中心として広がる開放感一杯の庭園の眺め
◎仏殿(薬師堂)に安置される鎌倉市指定文化財「薬師三尊像」を始めとする仏像群
境内図
山門まで
扇ケ谷を奥へ奥へと進みますと、海蔵寺の山門前に至ります。少し手前の左手に駐車場がありますので、お車の方はそちらを利用できます。
この写真の右手に鎌倉十井の一つ「底脱の井(そこぬけのい)」があります。鎌倉幕府評定衆・金沢顕時の妻の無著禅尼の悟りの境地を証する歌「千代能が いただく桶の底ぬけて 水もたまらねば 月もやどらじ」から名付けられたと云われています。
正面の男坂の石段を上がると山門です。
初秋・萩の頃には、こんな感じです。
右手の女坂を上がると脇門があります。脇門の先には庫裡が見えています。
ご本堂(龍護殿)
正面にはどっしりと構えたご本堂があります。
海蔵寺と書かれた額が掲げられています。
正面には、十一面観音及び「殺生石」の伝説で知られる開山・心昭空外像が安置されています。正面・四枚戸の唐獅子牡丹は、藤原義信の筆です。
◆「殺生石」の伝説
少し左に目をやると屏風の左手奥に「やぐら」が見えます。
仏殿(薬師堂)
梅の頃の薬師堂です。
正面には、鎌倉市指定文化財の「薬師三尊像」が安置されています。堂内には他にも「十二神将立像」「木造伽藍神倚像(がらんじんいぞう)」等が納められています。
◆「啼薬師(なきやくし)」の伝説
庫裡
ご本堂に匹敵するかなり大きな庫裡をお持ちです。
庫裡の壁に沿って様々な花が咲き誇ります。例えば秋口は「秋海棠」。
夏場は「芙蓉」や「凌霄花(のうぜんかずら)」など。
ご朱印所も、この中にあります。
小さな釣鐘を鳴らすと応対していただけます。
庭園
本堂の裏手に心字池を中心とした庭園が整備されています。北西に広く空間が広がり、一般的な禅宗のお寺の石庭と比べると開放的なイメージがあります。庭園内には、雪見灯篭、石造りの五重塔、岩を包み込むように水が流れ落ちる袋滝などが配置され、背後の山の樹々が四季の移ろいと共に色を変えていく姿と重ねて楽しめる造りになっています。右奥に見える建物は数年前に立て替えられた「書院」です。
鐘堂
庫裡の直ぐ前に鐘堂があります。初夏には緑に包まれて爽やかな佇まいです。
やぐら群
本堂左奥にやぐらが並んでいます。
やぐらの一つは「雨宝殿」と名付けられ、小さな鳥居が立っています。奥に白く見える人頭蛇身の宇賀神様をお祀りしています。
その他境内の様子
夏場、バーベナに止まるモンキチョウ。
「水瓶(すいびょう)」に鮮やかに咲くハス。
ほんとうに小さな手水鉢が参拝客を待っています。
秋の結婚シーズンには、新婚さんが記念撮影にいらっしゃいます。
秋口には、パレットに押し出した水彩絵具の粒ような「紫式部」の実が、鮮やかです。
十六井戸
赤い傘の下には、十六井戸の拝観料を納める箱が置いてあります。昔は、朱印所のところで拝観料を納めて十六井戸の鍵を受け取るシステムになっていたそうですが、現在は性善説に則ったシンプルな運用になっています。
仏殿に向かって左手の小道を進み、小さな隧道を潜ると、十六井戸です。
中には、十六の窪みがあり、水が湧き出ています。正面奥には観音様、その足元には弘法大師の石像が安置されています。当初の真言寺院だったころの名残りでしょうか。
◆「十六井戸」の伝説
岩船地蔵堂
岩船地蔵の由来
岩船地蔵堂の場所
海蔵寺は岩船地蔵様をお祀りし、鎌倉二十四地蔵尊の第15番札所を勤めていますが、岩船地蔵堂は、海蔵寺の境内にはありません。一旦今大路まで戻り、その先のJR横須賀線・岩船ガードを潜ったすぐ近くにあります。
岩船地蔵堂
外観は、こんな感じです。
中には、岩船地蔵尊が安置されていますが、格子戸の裏に安置されているため、直接は見えません。外から見えているのは前立像です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
扇ケ谷の奥の奥まで歩くのは大変ですが、途中、寿福寺・英勝寺あたりにも立ち寄りながら是非足を延ばしていただきたいお寺です。なお無料の駐車場もありますので、お車で参拝される方には、とても便利です。
こちらのページもご参考にどうぞ
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