鶴岡八幡宮~ぼんぼり祭り2018~三十選「風景・静物」編
- 2018.08.13
- お祭り
シリーズ第3回目の今回は風景・静物を描いた作品を取り上げます。
献納「ぼんぼり」三十選~「風景・静物」編
本物の富士山は青くはないですし、こんなに縦長でもありません。でもこうしたデフォルメは、「ぼんぼり」のために全て許されてしまいます。ブルーハワイのかき氷に練乳をたっぷり掛けるとこうなるのではないかと想像してしまう私は今なお育ち盛り??? 鶴岡八幡宮からあの頂まで一気に直線飛行したくなる爽快な作品です。
裕次郎さんの作詞を手掛けておられた池田さん。お二人の間には、いろんな思い出がおありなのでしょう。誠に羨ましいかぎりです。現在、裕次郎さんの愛艇「コンテッサⅢ」は石原兄弟が幼い時代を過ごした小樽で陸上保存・展示されております。なので現実の背景の青は空の青のはずですが、どうみても波打つ海の青にしか見えません。太平洋の波を切って進む「コンテッサⅢ」の雄姿ではなく、記憶の中ですらモニュメント化された現在の姿を、敢えて波打つ青に重ね描いたところに、込められた池田さんの想いが垣間見えます。
最初沖縄のシーサーだと思い込んでいたのですが、角があるのでどうも狛犬のようです。「日本の狛犬なら口は吽形」「極彩色の仕上」「前足の足輪」「日本には存在しない胸の「三つ星に笹」紋」等の理由から、南アジア・東南アジアのどこかの地域の狛犬像ではないかと想像します。ともあれこのエスニック調の狛犬は、参道入口向かって左一番手に陣取り、強烈なオーラを放っておりました。宮崎さんGood Job!!ですね。
衣の曲線が色鮮やかに波打つこんなにポップな十二単を纏う姫君はどんな方?? お顔を絶対見てみたい。でも意地悪な浜崎先生は、衣の裾だけ描いて一丁上がり。私のフラストレーションは溜まる一方です。ぼんぼりの中で一番トンでたこの作品は、白旗神社参道脇で目に留まりました。
「ハタハタ」を漢字で書くとたくさんあるそうですが、船本先生は「鰰じゃなきゃダメ派」(笑)のようですね。容易に真似できない達筆に添えて、身近な題材を力むことなくサラリと描く、こんな軽妙洒脱さが「ぼんぼり祭り」にはお似合いです。
子供の頃、祭りでお面をネダるときは、いつもウルトラセブン(ウルトラマンよりセンス上)か仮面ライダーでした。祖父お勧めの「きつね」を選ぶほど騙されやすい小学生ではなかったですし、「おかめ」「ひょっとこ」を被るなんてことは金輪際!! でも、今被るとしたらどうでしょう・・・。こんなお面を被って夏祭りの参道を歩くのもイイナと思ったのは私だけではないはずです。ろうそくの灯りに照らされる衒いの欠片もない面は、虚飾に満ちた私達のペルソナを、誰にも気づかれず今だけそっと引きはがしてくれます。
日本では青も緑も「あお」と呼びます。この作品の主題は「和風」なので、山の緑を青に置き換えても構わないということでしょうか。空が白く映るほど山の青さが際立って、なんとも涼しげな山中の大寺が浮かびあがります。一羽悠々と飛ぶ鷹もさぞ心地良いことでしょう。東大寺の道善長老の作品ですので、おそらく奈良県、もしかすると初瀬の長谷寺をイメージしていらっしゃるのかも知れません。
以下、第4回「書」編に続きます。
献納「ぼんぼり」三十選ギャラリー
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