祖霊社◆鶴岡八幡宮・境内散歩(その10)◆
- 2025.12.17
- 境内散歩
祖霊社は、鶴岡八幡宮の末社の中では最も新しいお社で、昭和二十四年にこの地に鎮座しました。鶴岡八幡宮の影響力が強い鎌倉市内には、神道を宗旨とする方々が多く、鶴岡八幡宮に対し祖霊の奉斎を望む声も大きかったことから、戦後「鶴岡八幡宮祖霊社維持会」が結成され、前の大戦の英霊に加え、祖霊、歴代宮司の御霊が併せて祀られることとなり、仏教のお彼岸に準じて春と秋の年二回例祭が執り行われます。なお、江戸期の鶴岡八幡宮は神仏が共存する「鶴岡八幡宮寺」として神職と供僧が奉祀していましたが、そのうち代々社家を務めていた大伴家のお墓は、浄光明寺にあります。
境内図

社殿まで
参道
祖霊社の表参道は、手水舎に向かって左脇から西方向に延びます。



鳥居
祖霊社の鳥居は、もともと昭和30年(1955年)に建てられた木の鳥居でしたが、現上皇陛下の天皇即位の御大典を記念して平成2年(1990年)に、「祖霊社維持会」により現在の石鳥居が建てられました。




手水
コロナ騒動以降、水が張られていないこちらの水盤には、文化六年(1809年)と刻まれておりますので、鶴岡八幡宮寺の時代の何れかの社殿もしくは仏殿に置かれていたものと思われます。背後の水口は、ずっと新しく令和元年(2019年)に「祖霊社維持会」より奉納されたものです。


社殿正面参道
拝殿正面の参道には4組8基の石灯籠が並んでいます。

石灯籠・手前
一番手前の一組の燈籠は、ご鎮座50年を記念して、平成11年(1999年)に祖霊社維持会より奉納されたものです。

石灯籠・二番目
二組目の石灯籠は、平成15年(2013年)に有志の方の奉納です。

石灯籠・三番目
三組目の石灯籠は、昭和54年(1979年)に奉納されたものです。

石灯籠・最奥
一番奥の石灯籠は、昭和30年(1955年)に奉納されたものです。

井戸
こちらは、参道途中の井戸です。

拝殿
拝殿は、伊勢神宮の古材を拝領し、昭和53年(1978年)に建てられたものです。面積は40平米ほどで、土間床となっています。




本殿
現在の本殿は、平成7年(1995年)に建てられたものです。もともとの本殿は、大船小学校の奉安殿(戦前はどこの学校にもありました)を移築したものでした。本殿の正面に掲げられた鎌倉彫の赤い「祖霊社」の扁額は、祖霊社維持会会員の野村政春氏より奉納されたものです。






社殿東側参道
社殿に向かって右手の道を進むと舞殿脇に出る小道が見えます


裏参道
さらに進むと、鶴岡八幡宮の東側を通る県道21号線(横浜鎌倉線)に出ます。

こちらの石段は、本宮横の丸山稲荷社下まで続きます。

夏の祖霊社
夏場の祖霊社は緑に覆われて、秋冬とは全く雰囲気が変わります。


祖霊社秋季例祭
祖霊社の例祭は、春秋二回、巫女二名の舞が奉納される中祭の格式で執り行われます。例祭での玉串奉奠は、参列者全員が行うことになっています。





最後までご覧いただきありがとうございました。一般にはご存じない方も多いのですが、鶴岡八幡宮は、横須賀市太田和で神道霊園「鶴岡八幡宮墓苑」を運営なさっており、一般的な寺院墓地と違って宗派を問わない点が特徴となっています。
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