鶴岡八幡宮~ぼんぼり祭り2018~三十選「花」編
- 2018.08.11
- お祭り
鎌倉の夏の風物詩として有名な鶴岡八幡宮のぼんぼり祭り(2018年)は、立秋前日の8月6日から源実朝誕生日(実朝祭)の8月9日まで4日間開催されました。今年、献納された「ぼんぼり」は合わせて400灯くらいとお聞きしてます。どれも素晴らしい作品ばかりで目移りしますが、私の好みで30作品をセレクトしてみましたので、これから4回にわけてご紹介します。まず第1回目は、お花を描いた作品から・・・。
献納「ぼんぼり」三十選~「花」編
青い「朝顔」が縦に五輪、いろんな向きに咲いてます。絡み合う葉や弦まで丁寧に描かれていますが、しつこさがなく「ぼんぼり」らしい涼やかな仕上がりです。
紫の八葉が凛々しい「鉄線」。葉や茎を墨色で描くことで、花の紫をきりりと際立たせています。
こぼれ落ちて来そうな真っ赤な「南天」の実が際立ちます。薄墨の濃淡を使い分けた立体感は流石ですね。水墨画のオーソドックスな画題を「ぼんぼり」向けに軽やかにまとめていらっしゃいます。
これは「蛍袋(ほたるぶくろ)」でしょうか? どうだ上手いだろう・・・とばかりに「ぼんぼり」に目いっぱい描き切る作品も多い中で、主張しない、如何にも「鬼平」らしい洒脱な仕上がりです。
もっと艶やかな色を使ってもよい「牡丹」を、淡黄色で色付けした上品な仕上げです。淡黄色と薄墨を組み合わせた場合、下手に描くとねずみ色に薄汚れて見えてしまいがちですが、素人とはデッサン力が違います。流石です。
大きく描かれた葉に主役を譲ってしまったかのように可憐なピンクの小花、淡い水色の背景と相まって何とも涼しげな「秋海棠(しゅうかいどう)」は、秋の訪れを告げる季語でもあります。
しっかり写実的に描かれた四連の花の表はもちろんのこと、あちら向きの花の裏側が、萼(がく)から花弁に向け黄緑から薄紅に変化していく様も素敵な「凌霄花(のうぜんかずら)」です。
夏の季語「百合」を艶やかに描いていらっしゃいます。肝心の俳句を圧倒するほど色彩豊かな俳画ですが、ゴシック体で書かれた俳句の文字がしっかり主張しており負けてはいません。絵と句の不思議なバランスが新鮮で印象に残る「ぼんぼり」でした。
俳画らしい純墨は、日が落ちて灯りが燈ってから不思議な魅力を醸し出します。ろうそくの揺れる灯りに映える「鉄線」も、風になびくように揺れていました。
墨絵の抽象画が目に留まりました。ハートの花がハートを生み、溢れ返って互いに折り重なる様は、まさに「心に華を咲かせよう」という主題そのものをストレートに描いたものです。ん?抽象画ではないってこと??
以下、第2回「人・動物」編に続きます。
献納「ぼんぼり」三十選ギャラリー
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